会社設立に伴う業務は多岐に渡ります。商号検討や登記申請など手続きだけでも面倒です。事業によってはテナント探しや融資対応なども必要でしょう。税務関連の業務もあります。
何かしら業務を専門家や業者に外注したいと思える場面が少なくありません。そんなときに便利なのが、BtoB向けの一括見積もりサービス。
登記申請や資金調達の相談、会社HPの立ち上げなど、幅広いジャンルで見積りが取れます。ですが、どのサービスを使えばよいか分からない方も多いでしょう。
そこで今回は、BtoB向けの一括見積もりで有名な『比較ビズ』と『アイミツ』で比較しました。「サービス内容」や「料金体系」「サポート体制」などを比べてどちらが良いか解説します。
以下のような方は、この記事を読めば解決できますので、ぜひチェックしてください。会社設立で自分ひとりの手じゃ仕事が回らず困っている方は必見です!
- 業務の外注で便利なサービスを知りたい
- 『比較ビズ』と『アイミツ』の違いを知りたい
- 自社にあったサービスはどっちなのかを知りたい
目次
会社設立時なら『比較ビズ』がオススメ
『比較ビズ』にも『アイミツ』にも、それぞれメリット・デメリットはあります。ただ、比較した上で総合的に考えると筆者は『比較ビズ』の利用がベターと考えます。理由は以下の通りです。
- ほとんど全ての業務を一括見積もりできる
⇒一括見積もりできるカテゴリは『比較ビズ』が勝っています。一括見積もりの内容によってサービスを使い分ける手間がなく、会社設立時の忙しいときに便利です。
- 発注予算を抑えられる
⇒両サービスとも業務を発注者は無料、受注者は有料という仕組み。ただし、『比較ビズ』は月約1.5万円、『アイミツ』は最低月10万円+紹介手数料、成約手数料という違いがあります。
『アイミツ』は受注者の費用負担が高く、その分が見積りに上乗せれます(でないと利益を得られない)。同じ発注内容でも、見積り金額はアイミツは高くなってしまうのです。
- 本当にマッチした業者に依頼できる
⇒どちらもBtoB向けの一括見積もりサービスですが、ビジネスモデルは下記の通り異なります。『アイミツ』は受注企業の紹介まで行うため、恣意的に紹介企業を選ぶ可能性も…。
『アイミツ』は、受注企業の契約プランに応じて、受注企業の営業サポートも行っています。契約プランが高いという“裏事情”で特定の企業を紹介されるリスクがあるのです。
『比較ビズ』 | 『アイミツ』 | |
---|---|---|
ビジネスモデル | マッチングサービス(あくまで発注者と受注者をつなげる場所の提供に留まる) | 紹介サービス(『アイミツ』が間に入り受注者を紹介する) |
上記を踏まえると、『比較ビズ』を活用したほうがベターだと考えました。資金を大切に使いたいと考えている方は尚更です。もちろん、『アイミツ』に一括見積もりするメリットもあります。
以降は『比較ビズ』と『アイミツ』の違いを詳しく解説しましょう。「会社設立に伴う業務の外注化で失敗したくない」「どっちが良いか迷っている」という方は引き続きチェックしてください。
『比較ビズ』と『アイミツ』の比較(1)発注カテゴリ
一括見積もりできるカテゴリの豊富さは、サービスを利用する上では大切なポイントです。特定のカテゴリでしか一括見積もりができない場合、使い勝手は悪いといえます。
会社設立で様々な業務が発生する状況であれば、尚更のことでしょう。そこで『比較ビズ』と『アイミツ』で一括見積もりできる発注カテゴリを比較してみました。
『比較ビズ』:カテゴリは19種類で対応範囲は広そう
『比較ビズ』で発注できるカテゴリは以下の通りです。
カテゴリ | 発注できる内容 |
---|---|
Web開発・HP制作 | システムやアプリ開発、HP制作など |
税理士・会計士 | 税務まわり、資金調達相談、事業継承 など |
社労士 | 顧問社労士、就業規則作成、助成金申請代行 など |
司法書士 | 登記関連、少額訴訟、相続人調査 など |
行政書士 | 法務相談、契約書作成、許可申請代行 など |
弁理士 | 出願手続、特許出願、商標登録 など |
金融会社・保険代理店 | 資金繰り相談、経営者保険 など |
印刷会社 | 名刺・カード印刷、会社案内印刷 など |
クリエイター | 写真撮影、記事作成、動画制作 など |
経営コンサルタント | 経営顧問、業務改善、マーケティングなど |
店舗・オフィス | 店舗内装設計、オフィス内装設計、回線工事 など |
建設・建築 | 内装工事、外装工事、設備工事 など |
物流・運送 | 運送、倉庫、流通加工、通関代行 など |
製造 | 金属加工、機械加工、木材加工 など |
社員研修・人材育成 | 新人研修、営業研修、リーダー研修 など |
人材サービス | 求人広告、採用支援、ヘッドハンティング など |
集客・営業代行 | 広告制作、営業代行、テレマーケティング など |
オフィス用品・回線 | 電話回線、OA機器、ビジネスフォン |
会社設立の登記手続きや税務まわりの相談、会社のHP制作、内装工事など、ありとあらゆるカテゴリで一括見積もりができます。ほとんどの業務で発注できるため、使い勝手は良さそうです。
『アイミツ』:カテゴリは11種類、IT・Web系に注力していそう
次は『アイミツ』のカテゴリを見ましょう。具体的には以下のカテゴリとなっています。
カテゴリ | 発注できる内容 |
---|---|
システム開発 | HP制作、アプリ開発、システム開発 など |
営業 | 營業代行、名刺管理、DM発送代行 など |
マーケティング | 動画制作、イベント企画、PR など |
総務・企画 | ノベルティグッズ製作、福利厚生代行、ビジネスフォン など |
Webマーケティング | リスティング代行、ネット広告、SEO対策 など |
人事 | 社員研修、人材派遣、採用管理システム |
情報システム | 勤怠管理システム、グループウェア、人事システム など |
オフィス関連 | オフィス清掃、電気工事、店舗デザイン など |
経理・財務 | 税理士、資金調達、経費精算システム など |
専門家 | 社会保険労務士、助成金、行政書士 など |
ITサービス | 決算代行、eラーニングシステム など |
カテゴリを分けている定義が『比較ビズ』と違いますが、カテゴリ数は『比較ビズ』より少ないです。また下記のような傾向があるため、IT・Web系のカテゴリに注力している印象を受けます。
- 「システム開発」「情報システム」など、IT・Web系のカテゴリが2つある
- 「人事」「経理・財務」のカテゴリにも「◯◯システム」という記載がある
『比較ビズ』のほうが会社設立時に重宝できそう
会社設立時には、司法書士や税理士といった士業系の力が必要になる場面が多々あります。登記申請は必要不可欠ですし、企業に伴い税務・会計まわりの業務が集中するからです。
『比較ビズ』では各士業でカテゴリが作られており、士業系が得意であることが伺えます。一方の『アイミツ』は『比較ビズ』と違って、士業別にカテゴリを作っていません。
カテゴリを作るほど、受注業者を抱えていない可能性があります。(そもそも士業系を推していない可能性もあり)上記を踏まえると、会社設立時に重宝できるのは『比較ビズ』と言えそうです。
『比較ビズ』と『アイミツ』の比較(2)料金体系
『比較ビズ』と『アイミツ』の料金体系を表でまとめました。どちらも「発注者側は無料、受注者側は有料」という料金体系です。
ですが、受注側の課金方法や費用感は『比較ビズ』と『アイミツ』で大きく異なります。『アイミツ』のほうが月額費用が高く、加えて、別途成果報酬がかかる仕組みです。
『比較ビズ』 | 『アイミツ』 | |
---|---|---|
発注者(業務を依賴する側) | 無料で利用可能 | 無料で利用可能 |
受注者(業務を請け負う側) | 月額15,180円(税込み) | 1)最低月額10万円~40万円(契約プランによって変わる) 2)成果報酬(紹介手数料+成約手数料) |
これは『比較ビズ』と『アイミツ』のビジネスモデルの違いが原因。同じ一括見積もりサービスではありますが、以下のような違いがあるのです。
『比較ビズ』 | 『アイミツ』 | |
---|---|---|
ビジネスモデル | マッチングサービス(あくまで発注者と受注者をつなげる場所の提供に留まる) | 紹介サービス(『アイミツ』が間に入り受注者を紹介する) |
『アイミツ』は発注者の案件をヒアリングし、受注者を厳選して紹介まで行います。その見返りとして、成果報酬が発生しているのです。それぞれの費用について詳しく解説していきましょう。
『比較ビズ』:発注者は無料、受注者は月約1.5万円
『比較ビズ』は発注者側は無料で使えます。何度一括見積もりをしても料金はかかりません。一方、受注者側は月額15,180円(税込)がかかる仕組みです。
『比較ビズ』はマッチングの場を提供しているため、その対価として月額費が発生しています。受注者側は月額費用を支払うことで、発注側が一括見積もりした案件が届くのです。
案件に参加(見積りを行う)するのか、見送るのかは受注者側が自由に決められます。受注者側は月に約1.5万円を支払うことで、受注見込みがある案件を受け取れるのです。
『アイミツ』:発注者は無料、受注者は最低月10万円+手数料
『比較ビズ』と同様に発注側は何度も使っても無料です。しかし、受注者側の料金は異なります。具体的には以下の通り。月額費用は以下のように4つのプランで費用が変わります。
月額料金 | 紹介手数料 | |
---|---|---|
プロンズ | 10万円(6ヶ月契約) 9万円(12ヶ月契約) |
5% |
シルバー | 20万円(6ヶ月契約) 19万円(12ヶ月契約) |
5% |
ゴールド | 30万円(6ヶ月契約) 28万円(12ヶ月契約) |
5% |
プラチナ | 40万円(6ヶ月契約) 38万円(12ヶ月契約) |
5% |
契約プランのグレードが高いほど、『アイミツ』のサポートが手厚くなります。「紹介件数が増える」「営業サポートが入る」「優良案件を優先的に紹介する」といったイメージです。
『アイミツ』のほうが発注予算が高くなるリスクがある
『アイミツ』は一番費用の安いブロンズの月10万円×6ヶ月契約でも60万円かかります。『比較ビズ』では月額約1.5万円ですので、6ヶ月の利用でも9万円しかかかりません。
『アイミツ』は『比較ビズ』と比べて受注者側の費用負担がかなり高いのです。そのため、受注者側が『アイミツ』の利用コストを見積りに転嫁する可能性はゼロではありません。
「本来は50万円でできるが、『アイミツ』のコストを踏まえると100万円でないと利益を出せない」といった受注者側の事情により、発注予算が上昇するリスクがあります。
『比較ビズ』と『アイミツ』の比較(3)受注企業の傾向
発注者としては、どんな企業が業務を請け負ってくれるのか気になるところ。次は『比較ビズ』と『アイミツ』の受注企の会社規模を比較してみましょう。
『比較ビズ』:個人事業主や小規模事業者が多い印象
全カテゴリの受注企業を調べてはいないですが、小規模の会社が多い印象でした。受注企業をざっくり見ると以下の傾向があります。
- 社員数が10名以下の企業が少なくない。
- 社員数が20名前後が最も多い印象
- 社員数が100名以上の企業は少なそう
- 個人事業主として登録している事業者もある
『比較ビズ』は低価格で受注者として利用できるため、小規模事業者が多いのかもしれません。もちろん、社員数100名以上と規模の大きい受注企業もありましたが少ないです。
『アイミツ』:『比較ビズ』により規模の大きい会社が多い
『アイミツ』の受注企業をざっくり確認したところ、『比較ビズ』と異なる傾向がありました。
- 『比較ビズ』と比べると10名以下の企業は少ない印象
- 20名~50名規模の会社が最も多い印象
- 『比較ビズ』と比べると社員数100名以上の企業が多い
総じて、『比較ビズ』と比べると規模の大きい受注企業が多い印象です。高い費用を払える規模の大きい会社が自然と集まっているのかもしれません。
『アイミツ』は規模が大きい分、見積の相場が高くなる恐れ
一般的に規模の大きい会社は以下の特徴があります。発注者側からすれば「安心」して発注できるのは『アイミツ』と言えるかもしれません。
- 実績が多い
- 経営がしっかりしている
- サポート体制が充実している
ただし、規模の大きい企業は、人件費や賃料など自社の運営コストが高いです。その分のコストを踏まえた上で、利益を出す必要があります。
同じ依頼内容でも小規模事業者と比べると、予算が高くなってしまうでしょう。『アイミツ』で一括見積もりすると割高な発注予算になる可能性はゼロではありません。
『比較ビズ』と『アイミツ』の比較(4)サポート体制
発注者に対して、どのようなサポート体制があるのか、これも気になるところ。次はサポート体制について比較してみました。
『比較ビズ』:使い方などを電話やメールでサポートしてくれる
『比較ビズ』を発注者側として利用した知人によると、サポート体制は申し分ないそうです。「一括見積もりしたいが、どのように依頼すれば良いか分からない」
…という場合は、サポートスタッフが発注したい仕事の要件を決めてくれるのだとか。一括見積もり後の受注企業とのやり取りでもサポートしてくれるとの話でした。
『アイミツ』:使い方~受注企業の選定まで行ってくれる
『アイミツ』も『比較ビズ』も、どちらもBtoB向けの一括見積もりサービスです。ただ、『比較ビズ』はマッチングの場の提供だけですが、『アイミツ』は受注企業の紹介まで行います。
上記の違いもあり、使い方の他に受注企業の選定もサポートしてくれるのが特徴です。手間である受注企業の選定も行うため、発注者としてはありがたいといえるでしょう。
『アイミツ』のサイト内には発注者のインタビュー記事が有り、以下のような記載もありました。『発注コンシェルジュ』と謳っているだけあり、サポート体制は良さそうです。
問い合わせフォームにメッセージを入れた所、1時間を待たずしてすぐに折り返し電話があったので、スピーディーな対応にまず好感を持ちました。
担当してくれたコンシェルジュの方から進行状況の確認で連絡をいただけたりと、フォローのよさを感じました。
『アイミツ』では恣意的に受注企業を紹介されるリスクがある
発注者からすると業者の選定まで行う『アイミツ』のサポートは魅力的に映るかもしれません。『アイミツ』は受注企業から費用をいただき、紹介を行うビジネスモデルです。
紹介する立場である『アイミツ』が恣意的に紹介先を選ぶ可能性もゼロではありません。月20万円のプランで契約した場合、受注企業は『アイミツ』からの営業サポートを受けられます。
「受注企業の契約プランが高いから」という理由で、『アイミツ』から恣意的に特定の企業を紹介される可能性も…。「本当に合った企業が紹介されるとは限らない」というリスクがあります。
一方、『比較ビズ』は発注者と受注者をつなげる場の提供という立場。企業の紹介は行いません。受注企業を選ぶ手間は生じますが、本当にマッチした企業に依頼できるメリットがあります。
まとめ
「発注カテゴリ」「料金体系」「受注企業」「サポート体制」の観点で比較しました。どちらも良さがありますが、以下を踏まえると会社設立時に重宝できるのは『比較ビズ』でしょう。
- ほとんど全ての業務を一括見積もりできる
- 発注予算を抑えられる
- 本当にマッチした業者に依頼できる
『アイミツ』の場合は、紹介サービスのため、受注企業を選定してくれます。発注者が選定しない分、便利ではあります。ただ、利用コストが高い分、発注予算の増加は避けられません。
加えて、受注企業の裏事情で恣意的に業者を紹介されるリスクがあります。上記を踏まえると、『アイミツ』より『比較ビズ』のほうがトータル的に良いと言えそうです。
先ほども解説した通り、発注者は『比較ビズ』を無料で利用することができます。「登記申請の代行をお願いしたい」「顧問税理士を探している」という方は使わないほうが損かもしれません。
一括見積もりはフォーマットに従って入力するだけ。スマホやパソコンからカンタンに行えます。試しに使ってみるのが賢い選択ではないでしょうか。