作成日:2020.10.30  /  最終更新日:2020.12.11

会社設立の登記などで費用はいくら必要?【実は最低6万円でもOK】

個人事業主から会社の設立を検討している人や、何か新しいビジネスのために会社を作ろうと考えている人の中で、会社の設立費用がいくらかかるのかイメージがつかないのではないでしょうか。

そもそも一概に会社といっても、さまざまな種類があり、ただ会社を作るだけであれば、「合同会社」のように、たった6万円で作ることが可能です。

しかし、皆さんにとって作る会社がどのような目的があるかによって作る会社の種類は変わってきます。

今回は会社を作るために必要な知識や会社の種類、費用などを詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

株式会社なら最低25万円、合同会社なら6万円かかる

まず起業を考えている人が作るべき会社は大きく分けて「株式会社」と「持分会社」に分かれます。

株式会社は何となく聞いたことがあると思いますが、持分会社というのはあまりなじみがないと思います。

持分会社にはさらに「合名会社」「合資会社」「合同会社」に分かれていますが、一番メジャーなのは株式会社と形態が似ている「合同会社」です。そのため、今回は株式会社と合同会社を比較して説明します。

2つ会社の設立費用の内訳は後述しますが、まず株式会社を設立するためにかかる金額は約25万円、合同会社の設立費用は約6万円です。

株式会社の設立費用(法定費用):定款認証で約9万円

まず株式会社を作るために必要な定款認証は約9万円かかります。定款認証とは、会社のルールブックである「定款」を公証役場と呼ばれる役所で公証人にチェックをしてもらい、問題ないという証明をしてもらうことです。

まず公証役場での定款認証手数料が「5万円」、持参する定款を「紙」で作る場合は「4万円」分の収入印紙が必要になり、合計で「9万円」となります。

※厳格には認証後に定款の謄本を1通発行してもらうため、プラス1,000円~2,000円ほどかかります。

株式会社の設立費用(法定費用):登記で登録免許税が15万円

会社の設立には「登記」が必要です。登記とは、簡単に言うと「会社の存在を社会に公示(認識させる)」手続きのことです。

いくら口で「会社を作りました」といってもだれも信用されませんし、証拠がありません。登記というのは会社を「登記簿謄本」と呼ばれるものを作ることにより、実体を証明しています。

株式会社を作るための登記には法務局で支払う登録免許税という税金がかかります。こちらは「資本金の額×0.7%」で、15万円を超えない場合は最低金額として15万円かかります。

ほとんとないと思いますが、「資本金の額×0.7%」ということは、資本金が2,143万円以上の場合は登録免許税が15万円を超えます。

しかし1,000万円を超える資本金の会社設立は消費税などの免税措置が適用されなくなってしまうのでおすすめしません。

株式会社の設立費用(その他):登記後の開業準備で約1万円~

登記が完了すると会社は実体を持ちます。会社名義で銀行口座を作ることができ、電話番号やインターネット契約をすることができます。契約をするためには会社の登記簿謄本や印鑑証明書が必要になり、会社の銀行印や角印が必要になります。

これらの費用が「約1万円」かかり、合計で25万円になります。

会社設立の費用を抑えるコツ

株式会社を設立する費用として最低25万円と説明しましたが、手間をかければもう少し減らすことができます。

電子定款にすれば定款認証約5万円にできる

先ほど、定款認証の説明の際に持参する定款を「紙」で作る場合と言いましたが、定款は紙のほかに「電子定款」と呼ばれる定款があります。

簡単に言うと、紙で印刷した定款を電子化(PDF)してCD-ROMやUSBに入れることです。そうすることによって、収入印紙が不要になり、4万円を節約することができます。

電子定款を自分で行う場合は別途費用がかさむ

電子定款を作るには、本来紙の定款で必要だった印鑑の代わりに「電子署名」をしなくてはなりません。それには特別なソフトウェアやICカードリーダー、マイナンバーカードが必要になります。

個人事業主として普段から確定申告を電子申請している人であれば、機材がそろっていると思いますが、そうではない場合、新たにそろえる必要があり、数千円~1万円ほど別途費用がかかります。

合同会社×電子定款で設立すれば法定費用は6万円で済む

25万円が高いと感じるのであれば、まずは「合同会社」を作るという方法もあります。

合同会社って何?と思うかもしれませんが、合同会社は株式会社と似ており、株式会社は株主が株式を所有し、経営は株主が選んだ役員が行うため、役員と株主が分離していますが(所有と経営の分離)、合同会社は株主が存在せず、出資をした社員がそのまま経営に関与することになります。

合同会社は会社を大きくするつもりがない場合に作ることが多いですが、仮に大きくしたくなった場合でも株式会社に移行することができます。

合同会社があまり聞いたことがないという理由で作るのを悩んでしまう人もいるかもしれませんが、皆さんが知っている「アマゾン」や「アップル」、「グーグル」は合同会社です。

株式会社と合同会社の設立にかかる費用の比較とまとめがこちらです。

株式会社の場合

ケース1:登録免許税(15万円)+紙定款(4万円)+公証役場の認証(5万円) 24万円
ケース2:登録免許税(15万円)+電子定款(0円)+公証役場の認証(5万円) 20万円

合同会社の場合

ケース1:登録免許税(6万円)+紙定款(4万円) 10万円
ケース2:登録免許税(6万円)+電子定款(0円) 6万円

上の表を見てもらうと、合同会社の場合には公証役場の認証費用が入っていません。実は持分会社は会社の性質から大きくなることを想定しておらず、定款の認証までは不要を考えられています。

そのため合同会社は定款の認証費用がかかりません。これだけみても費用が大きくかわるため、とりあえず会社を作りたい(法人格が欲しい)というのであれば、合同会社もおすすめです。

印鑑はセット購入や素材に注意して依頼する

会社の印鑑はとても大切です。しかし、大切に思うがあまり、グレードの高い印鑑を購入してしまう人が多いです。

会社の印鑑は以下の理由によって値段が大きく変わります。

  • 機械彫りか手彫りか
  • 素材
  • 大きさ

機械彫りか手彫りか

手彫りは手間がかかり、生産するまで時間がかかるため、値段が高くなります。しかり手彫りというのは世界で1本しかないオリジナルの会社実印となります。

とにかく安く、早く作りたいという人であれば、機械彫りを選びましょう。

素材

実印は「木材<水牛<チタン<象牙」の順で高くなります。

例えば同じ実印1本でも、木材の実印が3,000円の場合、水牛は6,000円、チタンは10,000円、象牙は20,000円かかります。

サイズ

会社の実印にはサイズは1cm~3cmの正方形に収まるものと決められています。一般的には1.8cm~2cmが多く使われおり、大きさによって金額が変わります。

また、単品で購入するよりもセットで購入するほうが安く、会社を経営するのであれば、基本的に「実印」「銀行印」「角印」が必要になるため、あらかじめこの3点セットを購入するようにしましょう。

最近の印鑑は値段が安くても十数年持つほど丈夫なものばかりなので、初期費用を抑えたい場合は、比較的値段の低い印鑑セットを選びましょう。

まとめ

今回は会社を設立するためにかかる費用について解説しました。一般的な会社といえば株式会社ですが、合同会社でも信用度はそこまで落ちるわけではなく、設立にかかる費用も6万円でとてもやすくなります。

株式会社を作りたい場合で、できるだけコストを減らしたいのであれば、定款を電子定款にして、印鑑などの諸費用をできる限り減らしましょう。