ドバイは産業の多角化を目指し、観光・金融・流通の3分野に力を入れているアラブ首長国連邦(UEA)にある都市の1つです。
大規模なリゾートエリアには世界各国の富裕層が訪れているため、観光業での利益は国の経済に大きく貢献しているといえます。
また、ドバイには「フリーゾーン」という経済特区もあり、外資系企業が進出しやすいというメリットもあります。
日本だけでなくアメリカやイギリスの大企業もドバイに続々と進出しているため、アラブ首長国連邦内でも特に経済成長を遂げている国なので、中東にてビジネス展開をしたい方におすすめの起業先です。
しかし起業をするための手順や必要な費用などがわからないかと思いますので、ここでドバイのフリーゾーンでの会社設立について詳しく解説します。
会社設立にかかる費用についてもお教えしますので、設立の際の参考にしてください。
目次
ドバイのフリーゾーンとは
まずはドバイのフリーゾーンについて説明します。
フリーゾーンとはその国の経済発展を推進するために設けられた区域のことで、その区域にのみ適用される税制の優遇措置なども存在します。
経済特区はドバイだけでなく他の国にもありますが、ドバイのフリーゾーンでは外資100%の会社設立が可能という大きな特徴があります。
外資100%ということは海外国籍を持つ者が100%の株主となってドバイのフリーゾーンに会社を立ち上げることができるということです。
さらに設立後は最低50年間の所得税免除などの優遇措置も設けられています。
ドバイのフリーゾーンで会社設立をする場合の費用
ドバイのフリーゾーンでは安く会社設立をすることが可能です。しかし多少の費用はもちろん発生しますので、どのくらいの費用が必要かを確認しておくことが大切です。
会社設立の費用一覧
フリーゾーンで会社設立をする際の費用には以下のものがあります。
- 法人登記料
- ビジネスライセンス費用
- フィス賃貸料
- 資本金
- ビザ取得費用
オフィス賃貸料は実際にある建物を借りるのか、バーチャルオフィスを借りるのかによって異なります。
フリーゾーンによってバーチャルオフィスが認められていないところもありますので、考えているオフィス形態によってフリーゾーンの規則を確認しましょう。
設立にはこれらの費用がかかりますが、費用についてはどこのフリーゾーンで設立するかで大きく異なります。
資本金に対する考え方から法人登記費用までゾーン別に定められているため、設立を考えているフリーゾーンの規則を確かめるしかありません。
例えばUEAで初めて作られたフリーゾーンで、多くの日系企業がある「ジュベルアリ・フリーゾーン(JAFZ)」では最低資本金制度が撤廃されました。(代わりに出資者による資金力を見られます。)
もう1つ代表的な「ドバイ・エアポート・フリーゾーン(DAFZA)」は一般的な会社であれば1,000ディルハム(約3万円)が最低資本金として必要になります。
代行業者に一括して支払う
フリーゾーンで会社を設立するのであれば、会社設立サポートが充実している代行業者に依頼するのがおすすめです。
その場合は代行業者に、登録料やライセンス料、バーチャル・オフィス賃料、代行費用をまとめた金額を支払います。
代行業者によって金額は変わりますが、平均で23,000ディルハム(約65万円)から代行してくれます。
ドバイのフリーゾーンでの会社設立が向いている人
ドバイのフリーゾーンは事業主にとって理想的な環境が揃っているといえます。
しかし自身に本当に適しているのかどうかの判断がつきづらいかと思いますので、ここでドバイでの起業に適している人について解説しましょう。
より大きな市場をターゲットとしたビジネスを考えている
ドバイのフリーゾーンには数々の優遇措置や国外の人間でも簡単にドバイ内に会社を建てられるというメリットもあります。
ドバイ内に腰を落ち着ける方にも最適ですが、その他の国もターゲットにした大きな市場でのビジネス展開を考えている方にもおすすめです。
まずはドバイのフリーゾーンを足掛かりに、多くの市場を開拓していくことができます。
多国籍の国だが安全性が確立されている
ドバイは国の人口の多くは海外の人です。多くの国の人がドバイに来てビジネスを展開しています。
多くの国から人間が来るとそれだけ治安が悪いのではと心配される方も多いかと思いますが、ドバイは安全性が確立された国です。
ドバイの街中には至るところに監視カメラが設置されていますので、防犯性が非常に高くなっています。
またビザの関係上、ビジネスで来ていない者はドバイに居続けることができません。
これらの理由から多国籍の国でありながら安全性が確立されていますので、安心してビジネスを行うことができます。
ドバイのフリーゾーンでの会社設立の手続き
フリーゾーンで設立する会社は「FZE(Free Zone Establishment)」と「FZCO(Free Zone Company)」に分けられます。(日本に会社がある場合は「支店」も可能です)
2つの違いは出資者の数の違いのみなので、自分の会社に合っているほうを選びましょう。
- FZE・・・出資者が1名の会社でFZCOに比べてコストが少ない
- FZCO・・・出資者が2名以上の会社
今回は数あるフリーゾーンのうち、先ほど出てきた「JAFZ」で会社を設立する手続きをご紹介します。
会社を設立するまでにかかる日数はおおよそ2~4週間ほどかかります。
設立する事業分野・会社の社名を決める
まずは設立する会社の事業分野を決めます。設立するフリーゾーンによって事業が行えるか変わるため、事前に調べておきましょう。会社名は英語で構いません。
JAFZAへ事前承認を得る
まずは以下の書類をJAFZA(ジュベル・アリ・フリーゾーン公社)へ提出します。
- 定款
- 申請書
- 事業計画書
- 株主や役員のパスポートのコピー
- 取締役会の決議書
※取締役会の決議書を日本語で作成した場合は、英語に翻訳して、UAE大使館などで認証を受ける必要があります。
JAFZAは提出された書類を確認し、問題がなければ認可します。
事業所となる住所を決める
JAFZAから認可が下りたら事業を行うためのオフィスを決めます。レンタルオフィスやバーチャルオフィスなどがありますが、多くの場合は代行業者が一括して管理しているオフィスに登録し、賃料を支払います。
ライセンス発行
JAFZAへ設立する会社の概要や借りた賃貸物件に関する概要書を提出し、問題がなければライセンスが発行されます。
必要に応じてビザを取得する
ドバイで働く従業員がいる場合は、ライセンスを取得した後に雇用ビザを取得します。
フリーゾーンで働く従業員は原則3年間の労働許可及び移住ビザが発行されますが、専門技術者など特定の条件を満たす場合は最長で10年間のビザは発行されます。
銀行口座を開設する
最後に銀行口座を開設します。ドバイは外国人がとても多いため、外国人でも銀行口座を開設しやすくなっています。
その中でもおすすめなのが、ドバイに住所がない場合でも開設できるドバイ最大の国営銀行「Emirates NBD銀行」です。
銀行口座を開設するには、代表者が現地に赴く必要があるため、代行業者と打ち合わせをしましょう。
まとめ
ドバイのフリーゾーンは国外の人間でも簡単に会社設立が可能な区域です。
法人税がかからない、設立コストが安いなどのメリットを持っているため、事業主にとっては理想的なビジネス環境だといえます。
まずは会社を設立するフリーゾーンを決めましょう。それからフリーゾーン別に定められた設立費用を確認後、設立準備を進めていきます。
ドバイのフリーゾーンにて設立をし、ビジネスを大きくしていけばより大きな市場でのビジネスもできるようになるかもしれません。