「エストニアで会社を設立したいけど…どんなメリットがあるの?」
「メリット以外にデメリットもあるなら知っておきたい」
エストニアで会社設立する場合に気になるのがメリットとデメリットではないでしょうか。
メリットだけでなくデメリットを理解することで、エストニアでの会社設立を身近に考えることができます。
そこで、この記事では、まずエストニアの基本情報を説明した後、3つのメリットとデメリットをそれぞれ解説していきます。
この記事を読むことで、日本に居ながらエストニアで会社設立する利点と注意点を理解できますので、ぜひ参考にしてください。
目次
エストニアの基本情報
まずは下記についてお伝えします。
- 概要
- 治安
- 慣習
- 政治的なリスク
概要
エストニアはヨーロッパに位置する国で、ラトビア・リトアニアと共にバルト三国と呼ばれています。
人口は「さいたま市」と同程度の約130万人ですが、無料通話ツール「Skype」発祥の地としても注目されるIT先進国です。
物価の安さと優秀なエンジニアの多さから、オフショアの候補地としても人気が高いです。
公用語はエストニア語ですが、英語を話せる国民が多いため、エストニア語を話せなくても生活に問題はないと言われています。
治安
エストニアはヨーロッパ諸国の中でも治安が安定しています。
その理由に防犯カメラの存在があります。
IT先進国ということもあり、防犯カメラが様々な場所に設置されていることが犯罪の抑止力に繋がっているようです。
犯罪の大半がスリ・置き引き・車上荒らしのような軽犯罪、もしくは薬物犯罪ですが、薬物犯罪は他の欧米諸国でも発生しているため、エストニアに限ったことではありません。
そのため、エストニアの治安は概ね良いと言えるでしょう。
慣習
エストニアの慣習として、まずは時間の正確さが挙げられます。
中には時間にルーズな国もありますが、エストニアは電車やバスが時刻表通りに運行されています。他にも、無宗教の国民が多い・室内は土足厳禁・誕生日を盛大に祝う、などの慣習があります。
そのため、エストニアは日本人と共通する慣習が多いと言えるでしょう。
政治的なリスク
エストニアの政治的なリスクとして、ロシアとの関係性が懸念されます。
ソ連崩壊に伴って独立を果たしたのがエストニアなので、その後のロシアとの関係は決して良好とは言えません。
過去にはエストニアの首都タリンでロシア系住民が暴動を起こしたことがありますし、大規模なサイバー攻撃をロシアが仕掛けたこともあります。
ただし、そのようなサイバー攻撃がエストニアのIT技術を底上げし、現在はセキュリティ強化にも力を入れています。
エストニアで会社設立するメリット
エストニアで会社を設立するメリットに下記があります。
- 起業のハードルが低い
- EU市場に参入できる
- 法人所得税がかからない
起業のハードルが低い
エストニアは会社を設立しやすい国で、初期費用も250ユーロ(日本円で3万円程度)です。
e-Residencyという制度によって簡単に設立できますし、日本からもオンライン申請が可能です。
オンライン申請を行うには、エストニア大使館でe-Residencyのカードを受け取った後、ビジネスサービスプロバイダーと契約を行う必要がありますが、日本語と英語に対応しているビジネスサービスプロバイダーもあります。
そのような日本語対応のビジネスサービスプロバイダーを利用することで、容易に会社設立が可能になるでしょう。
EU市場に参入できる
エストニアで会社を設立すればEU市場に参入できるので、国際的な展開を考えている方にとっては大きなメリットです。
すぐに国際的な展開を考えていない場合も、将来的なプランがあれば、あらかじめエストニアで会社設立しておくことで動きやすくなるかもしれません。
法人所得税がかからない
エストニアは配当を行わない限り、法人所得税が課税されません。
たとえば年間2000万円の利益が出ても、翌年に繰り越せば税金がかからないというわけです。
2000万円を全て配当する場合は所得税20%が課税され、受け取り額が1600万円になりますが、内部留保すれば税金の支払い義務はありません。
それに対して日本の場合(法人税の実効税率を40%で考えると)、配当の有無にかかわらず、2000万円の利益に対して800万円が課税されます。
このような税金面のメリットは、スタートアップ企業にとって大きいのではないでしょうか。
エストニアで会社設立するデメリット
エストニアで会社設立する下記のデメリットについても見ていきましょう。
- エストニアの法制度に従う必要がある
- 言語の壁がある(現地国籍人の雇用が必要なことも)
- 取引先が日本企業だと国際送金が必要
エストニアの法制度に従う必要がある
税申告などのルールはエストニアの制度に従う必要があります。たとえば日本では不要な月次報告書が、エストニアでは義務づけられています。
尚、日本とエストニアは二重租税の回避条約が結ばれたため、税金が二重で課税されることはありません。
しかしどちらの国に納税するかについては、ビジネスの主体・売上先・業態などで変わるため、あらかじめ税理士に相談すると良いでしょう。
税金を回避する目的で法人をエストニアに設立することは認められていません。
言語の壁がある(現地国籍人の雇用が必要なことも)
エストニアで会社を設立するだけなら簡単と言えますが、その後のe-Residencyの活用や、エストニアの制度を理解するには英語力が必要になります。
日本を拠点にする場合も最低限の英語力は必要ですし、EU市場でビジネス展開を考えている場合は必須でしょう。
尚、EU市場において、1人でビジネスを行うのは現実的ではありません。
少なくとも集客・営業・交渉に関しては現地国籍人の雇用がポイントになるので、ネイティブレベルの英語力が試されるでしょう。
取引先が日本企業だと国際送金が必要
エストニアで会社を設立するとヨーロッパの銀行口座と紐付けることになるので、取引先が日本企業の場合はエストニアへの国際送金が必要です。
基本的に日本国内の銀行とは連携できないため、国際送金サービスなどの利用を検討しましょう。
まとめ
エストニアはIT先進国として知られる小国で、概ね治安が良く、日本人と共通する慣習を持っています。
ロシアとの関係性で政治的なリスクはありますが、サイバー攻撃がセキュリティ強化に繋がったという側面もあります。
具体的にエストニアで会社設立するメリットとしては、以下の点を挙げられます。
- 起業のハードルの低さ
- EU市場への参入
- 法人所得税がかからない
日本に居ながらオンラインで簡単に設立できて国際的な展開がしやすく、利益を配当に回さない限り法人所得税がかかりません。
デメリットには、以下の点が挙げられます。
- エストニアの法制度に従う必要がある
- 言語の壁がある
- 取引先が日本企業だと国際送金が必要
法制度はエストニアに従う必要がありますし、英語という言語の壁があり、日本企業からの国際送金は手間がかかります。
以上、この記事では、エストニアで会社設立のメリットとデメリットについて解説を行いました。