作成日:2020.10.15  /  最終更新日:2020.12.11

副業で会社設立すると社会保険料は?【本業にバレたくない人必見】

「副業で会社設立すると社会保険料はどうなるの?」

「会社設立によって副業はバレてしまうの?」

このように思われている方も多いのではないでしょうか。

そこで、当記事では、副業で会社設立する場合の社会保険料とについて解説していきます。

原則、法人設立によって社会保険に加入する義務がありますし、社会保険に加入すれば本業に副業がバレるリスクは高くなります。

しかし会社設立しても、状況次第では社会保険に加入する必要はありません。

この記事を読むことで、どのような場合に副業の会社で社会保険が必要なのか分かりますし、本業にバレない対策も理解できます。

具体的に見ていきましょう。

原則、法人は社会保険に加入しなければならない

まず大切なことは、原則的に会社を設立すれば、厚生年金保険と健康保険(以下、社会保険)に加入する義務があるということです。

株式会社・合同会社ともに加入する必要がありますし、代表取締役が1名でも同様です。

個人事業の場合は従業員数によりますが、会社設立後は原則、社会保険に強制加入と思ってください。

「サラリーマンとして本業の社会保険に入っているから、副業で会社設立しても入らなくていいのでは?」と考えるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。

社会保険は選択制ではないので、条件に該当していれば加入の義務があります。

それでは、「会社は設立したいけど本業にバレたくない…」という場合はどうすれば良いのでしょうか。

対処法も含めて、これから解説していきます。

副業で法人設立した場合の社会保険料はどうなる?

副業で法人設立した場合の社会保険料を、役員報酬がない場合役員報酬がある場合に分けてお伝えします。

役員報酬がない場合

副業で法人設立しても役員報酬の支給がなければ、社会保険に加入する必要はありません。

社会保険への加入は役員報酬が発生してからなので、このケースでは本業の会社で掛かっている社会保険のみになります。

役員報酬がある場合

副業で設立した会社で役員報酬が支給されれば、社会保険に加入しなければなりません。

その際は事業所の所在地を管轄する年金事務所に下記を提出します。

  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届(必要に応じて)

社会保険に加入するための手続き書類ですね。社会保険労務士にお願いして作成してもらうことも多いです。

他にも本業の会社を管轄する年金事務所に下記を提出します。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険被保険者所属選択
  • 二以上事業所勤務届(以下、二以上事業所勤務届)

2つ以上の事業所に使用される場合に提出する書類です。副業で会社を設立し、社会保険に加入した場合も提出します。

社会保険料自体は、本業の会社からの給料と、副業の会社からの役員報酬を合算して決まります。

その後は会社の報酬割合に応じて按分することになるので、副業の会社だけでなく、本業の会社にも年金事務所から通知が届きます。

社会保険料で副業がバレる?

本業の会社に届く年金事務所からの通知によって、副業がバレやすくなります。

いつもは総務部が給与計算を行う会社が多いと思いますが、新しい保険料額が記された通知が届くわけですから、通常は管理者や経営者の判断が必要になります。

管理者や経営者が、「なぜ違う会社から給料が支給されているのか?」と疑念を抱けば本人に訪ねるでしょうし、その段階で副業を隠し通すのは難しいのではないでしょうか。

副業がバレても即解雇とは限りませんが、就業規則に禁止規定があれば、何らかの懲戒処分を受ける可能性はあります。

このように、二以上事業所勤務届の提出によって副業がバレることがあるので注意しましょう。

尚、以前は良く、「住民税から副業の存在がバレる」と言われていました。

副業で確定申告を行う際、住民税を特別徴収にすると、本業の会社に納付書(副業分の所得が加算されたもの)が届きます。

その納付書から副業がバレるケースがあったのです。

逆に言うと住民税を特別徴収にせず、普通徴収にすればまずバレない、という見方が一般的でした。

しかし確定申告に気を付けても、近年は社会保険からバレる可能性が高くなっています。

元々は社会保険に加入していなくても、年金事務所の指摘は少なかったようですが、現在は法人マイナンバーや取締まりの強化によって、従業員がいない会社も指摘を受けやすい状況です。

本業の会社にバレないようにする対応策とは?

では、本業の会社にバレない対応策には何があるのでしょうか。

バレるきっかけは社会保険料の存在なので、副業の会社で社会保険に加入しなければ(二以上事業所勤務届を提出しなければ)、本業の会社に知られるリスクを防ぐことができます。

そのために有効なのが「役員報酬を支給しないこと」です。

副業の会社からの役員報酬を0円に設定すれば、社会保険に加入する必要はありません。

本業の給料だけで生活可能で、副業のお金がなくても支障がなければ、会社に内部留保させておくのも有効な選択肢です。

ただし、「本業の給料だけでは苦しいから副業をはじめた」という方も多いのではないでしょうか。

その場合、会社を設立することで副業のお金を自由に使えないのは本末転倒かもしれません。

そもそも会社設立しなければ副業はバレづらいと言えますが、節税効果や将来のことを考えて法人化したい、というケースもあるでしょう。

そのような場合は配偶者を社長にする選択肢があります。

配偶者に役員報酬を支給して社会保険に加入してもらい、自身は通常の取締役として会社に関わるパターンですね。

家計が同一の配偶者を代表取締役にすることで、社会保険経由で副業がバレることを防ぎやすくなります。

配偶者以外に子供・両親・親族を代表取締役に据える、という選択肢もありますが、後々のトラブルを防ぐためにも、信頼できる親族が良いでしょう。

まとめ

以上、当記事では、副業で会社設立した場合の社会保険についてお伝えしました。

原則的に法人は社会保険の加入義務がありますので、副業で会社を設立すれば、管轄の年金事務所に手続きを行う必要があります。

その際に二以上事業所勤務届も提出する必要があるため、社会保険の通知によって、副業が本業にバレる可能性が高くなります。

ただし副業の役員報酬を0円にすれば、社会保険への加入は必須ではありません。

社会保険に加入する必要がなければ、二以上事業所勤務届の提出も不要なので、社会保険によって副業がバレることを防ぎやすくなります。

その場合は副業で稼いだお金を内部留保しておくことになりますが、生活のために内部留保が難しい場合は、配偶者などを代表取締役に据える方法があります。

家計が同一で信頼できる家族なら、役員報酬として支給しても問題ないでしょう。

もしくは法人化を見合わせて個人のまま副業を続ける、という選択肢もあります。

いずれにしても、副業で会社設立する場合は注意が必要なので、気を付けてください。