オランダはヨーロッパ北西部にある国で、世界16位にランクインするほどの経済大国です。国民1人当たりの所得平均額は世界10位となっているため、景気が良く会社を設立するにはおすすめです。
しかし、オランダで会社を摂理したいと思っても、何から始めればいいのかがわからないかと思います。
ここではオランダで設立できる会社形態や設立にかかる費用についてご紹介します。
目次
オランダで設立する場合におすすめの会社形態は「BV」
オランダで設立する会社の形態はいくつかありますが、よく作られるのは「BV」と「NV」の2つです。どちらも出資金の範囲内での責任を負う「有限責任」ですが、2つの会社形態の違いを解説します。
小規模で経営できる非公開会社(BV)
BVとは日本でいう未公開会社のことです。少人数での立ち上げが可能なので小規模の経営を考えている方に最適な形態でです。
オランダBVは最低資本金がなく、最低1ユーロ(約125円)からで良いため、外国人にとって起業しやすい会社でもあり、日本にある起業が持分会社として多く設立する会社形態でもあります。
日本から会社を立ち上げるのであれば、BVを選択しましょう。
ビジネスを大きくしたい方は公開会社(NV)
会社組織を大きくしたい場合や上場を目指している場合は公開会社の設立がおすすめです。
公開会社とは株式の譲渡制限がなく、自由に株式を譲渡できると定款に定めている株式会社のことをいいます。公開会社を立ち上げるには最低資本金として45,000ユーロ(約560万円)の出資が必要です。
オランダでの会社設立にかかる費用
会社設立にはさまざまな費用が必要になります。オランダで会社設立をする際にかかる費用についてご紹介します。
資本金
資本金とは株主が事業を行うために必要な資金のことです。会社を設立するには資本金を払い込む必要があります。
オランダでの会社設立時の資本金はBVとNVで異なりますので、それぞれどのくらいの資本金を用意すべきかをチェックしておきましょう。
- BV・・・最低資本金なし。1ユーロで設立可能
- NV・・・最低資本金が45,000ユーロから設立可能
会社登記の登録料
会社を設立したら社名や所在地、代表者の氏名などをオランダの商工会議所に登録する必要があり、会社の情報は登録することで一般的に開示され登録料は51.30ユーロ(約6,500円)です。
オフィスの賃貸料
オランダで会社を立ち上げるなら、オランダに事業活動を行う本拠地が必要です。そのため本社を置くオフィスを借りなければなりません。
オフィスは規模や地域によって賃貸料が異なりますが、レンタルオフィスやバーチャルオフィスであれば、月額180ユーロ(約2万円)が相場です。
また契約時には敷金や礼金、数か月分の賃貸料を支払わなければならないこともありますので、余裕をもって用意しておきましょう。
代行業者への依頼料
自身でオランダに出向き、会社登記を行うという方は少ないかと思います。言語がわからない地域で会社登記手続きを進めることは非常に困難です。
登記手続きは現地の専門家に依頼することがおすすめです。専門家に任せることで滞りなく登記手続きを進めてもらえるため、設立もスムーズに進みます。
依頼料は専門家にもよりますが、1,500〜3,000ユーロ(約19~37万円)かかります。
税務顧問料
会社を設立すると様々な税金支払いの義務が発生します。自身に知識があれば専門会社に依頼する必要はありませんが、不明点が多いのであれば専門家に依頼しましょう。
税務関係なので税理士に依頼しますが、顧問料の相場は月額100ユーロ(約1万2000円)です。
オランダで会社設立をするときの手続きの流れを期間
オランダで会社を作るには、おおむね1か月~1か月半かかります。代行業者に依頼する場合は事前に「株主と役員の情報」や「パスポートコピー」用意しておきましょう。
今回はオランダでの会社設立がメジャーである「BV」の手続きをご紹介します。
会社名と住所を決める
オランダでは「BV」の文字を含む会社名が必要となり、オランダ語である必要はありませんが、ローマ字での記載が必要になります。
例えば「ビジネス株式会社」という会社を作りたい場合は「bedrijf BV(オランダ語)」や「business BV(英語)」という風にします。
会社名を決めた後はオランダ商工会議所内の登記所で、すでにオランダ国内で類似社名がないかどうかを確認します。
住所は現地の代行業者がレンタルオフィスやバーチャルオフィスを提案してくれるので、立地やプラン内容などが自分に合っていれば契約をしましょう。
設立書類の公証
以下を定めた書類を準備し、オランダ公証人に公証を依頼します。
- 定款
- 機関に関する情報
- 設立時に発行される株式に関する規定
- 発行済み株式及び払込資本に関する情報
オランダ語以外の言語を使う場合には、オランダ語文書の翻訳が必要な場合にはこれも合わせて公証する必要があります。
本来であれば、公証の際は現地に赴いて代表者がサインを行いますが、代行業者への委任状があれば現地に赴くことなく手続きをすることができ、公証が終われば会社が設立されます。
設立書類を提出
公証が済んだ設立書類をオランダ 商工会議所 の中にある登記所に提出します。現地で直接提出をした場合は、数時間で会社の登録番号を発行され、郵送の場合は1~2週間かかります。
同時にVAT(付加価値税)に関する登録を行います。こちらは日本でいう、消費税のようなもので、設立書類を提出すると、自動で税関へ登録されます。
資本金の払い込み
資本金を払い込むため、法人用の銀行口座を現地で開設します。オランダでビジネス用口座を開くためにおすめの銀行は以下の2つです。
- ING BANK
- bunq
オランダの多くの銀行では口座を開くために事前に予約を取らないといけませんが、ING BANKは予約不要で早ければその日のうちに開設が可能です。
次にbunqは最近できた新しい銀行で、店舗がないのが特徴です。現地に行く必要がなく、オンラインで口座が開設できるのが特徴です。
どちらもおすすめの銀行なので、自分に合った銀行か、代行業者がすすめる方を選びましょう。
口座を開設したら、BV(非公開株式会社)の場合最低金額の1ユーロ以上、NV(公開株式会社)の場合は4万5,000ユーロ以上を払い込みます。
払い込んだ証明書を商工会議所に送り、確認が取れたことの書類が返送されて会社設立がすべて完了します。
オランダでは日本では聞きなれない「口座維持費」というものが存在します。オランダでは銀行口座を開設するといくらか年会費がかかり、口座から自動で引き落とされます。
オランダでは、買い物をするときは現金ではなく、デビットカードやクレジットカードが主流です。銀行によっては口座開設と同時に作ることができます。
まとめ
オランダで会社を設立するならまずは会社形態を決めることが重要です。
国外の人間でも始めやすいBVもありますので、資本金をあまり用意できないという方はBVの形態を選択すると良いでしょう。
オランダは日本人でも経営を始めやすい事業環境が整っている場所です。国外での事業は成功するかどうかがわからないため不安が多いでしょう。
しかしオランダでは市場が開かれているため、オランダ人でなくともビジネスチャンスがあります。
理想的な事業環境を作って、オランダでの事業を成功させてください。