アメリカのデラウェア州は総生産高が623憶ドル(約6兆4,500億円)、一人当たりの年収は34,199ドル(約354万円)とアメリカ国内9位にランクインするほど高くなっています。
また法人設立のしやすさや税制優遇措置があることからアメリカ国内だけでなく海外企業の進出も多くなっており、2016年には州の人口を超える94万5326社の法人が設立されています。
例えばコカ・コーラ社やグーグルなど、有名な会社(子会社・関連会社)もデラウェア州にあります。
そんな景気の良さもあるデラウェア州ですが、デラウェア州で起業をするときに必要な費用や手順で悩むかと思います。
今回会社設立にかかる費用についてご紹介します。デラウェア州で起業をしたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
デラウェア州で設立すべき会社形態は2つ
デラウェア州をはじめ、アメリカでは多くの会社形態があります。その中でも日本人が会社設立をする場合に一般的に選ぶのが「Corporation」と「LLC」です。
- Corporation・・・日本でいう株式会社のこと
- LLC・・・日本でいう合同会社のこと
設立に最も向いているのがCorporation
デラウェア州で会社を設立する場合に多くの人がCorporationを選びます。Corporationは株式会社なので、株式を発行することにより資金を調達します。
大衆から資金を調達することができるため、大規模な事業活動を行うことができますが、日本と同様、1人株式会社も多く存在します。
Corporationは出資者のことを「株主」といい、出資額の限度でのみ責任を負います(有限責任)。万が一会社がつぶれてしまっても株主個人の財産には影響しません。
小規模で経営するならLLC
一方でLLCもデラウェア州で幅広く利用され始めている会社形態です。LLCは日本の合同会社のようなもので、株主も役員も存在せず、社員が会社に出資を行い、会社運営も社員が行います。
LLCの社員も出資をした限度でのみ責任を負うため、会社に何かあっても、個人の財産が奪われる心配はありません。
そして日本の合同会社との違いは、アメリカのLLCは社員が第三者に(Maneger)に業務を委任することでき、社員と手を組んで会社を運営することができます。
デラウェア州で会社設立をする際にかかる費用
デラウェア州で会社設立をする際にはどのくらいの費用が必要なのかを見ていきましょう。デラウェア州でかかる費用は以下の通りです。
- 登記費用
- オフィス費用
- コーポレートキット
- 資本金
- 代行業者費用
会社の設立申請時には設立申請費用を支払わなければなりません。申請費用は89ドル(約1万円)です。基本はこの金額ですが、発行する株式が一定額以上である場合は追加料金が加算されます。
オフィス費用は現地に在住するかどうかで変わってきます。デラウェア州に在住し会社を運営するのであれば、レンタルオフィスや、バーチャルオフィスを借ります。
デラウェア州に在住せず、日本にいるのであれば、代行業者から住所を借りるのが一般的であり、その理由は「Registerd Agent(登録代理人)」が関係します。
アメリカではほとんどの州で会社の店舗や事務所を置くことを義務付けておりませんが、その代わりに登録代理人と呼ばれる、会社の書類や郵便物などを受け取る窓口となる人(会社)を用意しなくてはなりません。
代行業者は会社の設立サポートだけではなく、住所貸しや登録代理人まで請け負ってくれるため、その維持費などが年間でかかります。
かかる費用は代行業者によってプランが異なりますが、設立や維持費などすべての業務を請け負った場合は資本金を除いて約30万円が相場です。
また、デラウェア州をはじめアメリカのほとんどの州では最低資本金制度がありません。
1ドルでも会社を設立することができますが、資本金は会社の信用でもあり、法人口座を開設する予定であれば、最低でも1,000ドルは用意しましょう。
デラウェア州で会社を設立するの手続きの流れ
デラウェア州で会社が設立するまでの手順を解説します。アメリカの多くの州に言えることですが、発起人は1人からでよく、設立書類が少ないので、遅くても2~3週間で設立が完了します。
代行業者(登録代理人)を選ぶ
デラウェア州で会社を作る場合は現地の専門家に設立手続きの代行をしてもらうことが一般的です。現地の人間なら英語ももちろん話せるため、コミュニケーションに問題はありません。
会社設立の実績を持つ人材に依頼すれば設立手続きも手早く進めてくれますので、安心して起業をお任せできます。設立代行サービスはデラウェア州の設立代行を行っているところに依頼しましょう。
また、自分が現地に在住しないのであれば、代行業者を登録代理人にする必要があるので、設立代行と一緒に請け負ってくれる業者を選びましょう。
代行業者が見つかったら申し込み用紙をホームページからダウンロードし、記入します。それを郵送などの方法で送り、依頼を完了させます。
会社名の決定・予約を行う
会社名はすでにほかの企業が使っている名称は使うことができず、似たような会社名も審査が通らないため注意が必要です。
デラウェア州のウェブサイトで既に登録されている企業を検索できるので、事前に調べてもよいでしょう。
会社名の決まりとしてはCorporationの場合は末尾に 「Corp.」,「 Inc.」,「 Co.」,「 Ltd.」のいずれかを、LLCの場合は末尾に「LLC」をつける必要があります。
会社名は設立前に予約することができます。デラウェア州のウェブサイトから予約料金を支払うことで120日キープすることができます。
設立書類を州務長官室会社部に送る
デラウェア州は設立に関する書類が少なく、原則「定款」のみです。
定款の様式は法人の形態によって変わりますが、こちらもデラウェア州のウェブサイトに様式が載っているので、事前に確認しておきましょう。
手続きが完了し、設立関係の書類一式が揃ったら依頼主に書類が送られてきます。手続きが完了していれば設立もできているため、ビジネスをスタートできます。
ビジネスライセンス等の取得
デラウェア州で行う事業によってはデラウェア州歳入局(Delaware Division of Revenue)からビジネスライセンス(許認可)を取得する必要があります。
会社の形態、ビジネスを行う州内の郡や市によって、他のビジネスライセンスの取得や企業登録が必要な場合があります。
連邦雇用番号を取得する
連邦雇用番号(EIN)とは簡単に言えば、法人の納税者番号のことで、日本でいう法人のマイナンバーカードのようなものです。
こちらは郵送だけでなくオンラインでも申請することが可能です。
銀行口座の開設
現地でビジネスを行うのであれば、銀行口座を開設しておきましょう。事前に取得した「EIN」が必要となります。設立全般は代行業者に任せてよいですが、口座開設は、代表者が現地に赴く必要があります。
まとめ
デラウェア州はアメリカの中でも容易に会社設立ができる州です。デラウェア州に住んでいなくても州に会社設立が可能なので、日本在住でも簡単に会社を立ち上げられます。
会社設立が容易だとしても、手続きを自身で行う場合は書類を用意して現地に出向かなければなりません。
手間も時間もかかるため、できるだけ早く会社を立ち上げたいという方には自分での手続きは不向きだといえます。
現地の専門家に依頼することでスムーズに設立手続きが行えますので、手続きが不安な方は専門家に依頼しましょう。デラウェア州で起業して、大規模なビジネスを成功させてください。