作成日:2020.09.24  /  最終更新日:2020.12.11

会社設立を依頼する先は「司法書士・社労士・税理士」のどれ?

会社設立をするためには、専門的な知識がある程度は必要となってきます。したがって、自分で設立をするのではなく、その道のプロにお願いする形を取る人も多いです。

もちろん、自分自身で会社設立する人も多いですが…そこで、ここでは、会社設立を自分自身で行うのか?それとも、プロにお願いした方がいいのか?を焦点に説明をします。

目次

そもそも会社設立は専門家にお願いした方がよいのか?

結論から言えば…「どちらでもよい」というのが正直なところです。それは、自分自身で会社設立した場合も、専門家にお願いをした場合も、各々のメリット・デメリットがあるからです。

そして、どこに重きを置くのか?何に重きをおくのか?で、選択肢がまったく変わってくるため、結局のところ、正解がないわけです。

ただ…恐縮ながら個人的な意見を言わせてもらうのであれば…専門家に委託をした方がよいです。何故か?は、以下の説明でご理解をいただけると思うので、ぜひ一読してみてください。

ちなみに…どこに重きをおくのか?の一例を簡単に紹介しておきますね。

  • 「費用を抑えたい」のであれば、自分自身で会社設立をした方が代行料金が発生しないため、答えは「自分自身」となります。
  • 「面倒な作業をしたくない」「定款作成に自信がない」というのであれば、答えは、当然「専門家に委託」となります。

自分自身で会社設立した場合の費用は?

株式会社を設立をすると仮定して費用の紹介をしていきます。自分自身で株式会社を設立する場合の費用は、ズバリ202,000円~242,000円となります。

あくまでも必要となる費用のみにフォーカスした金額となっています。内訳は以下のようになっています。

概要 費用
《定款認証印紙代》 0円 or 40,000円
《定款認証手数料》 52,000円
《登録免許税》 150,000円
[合計] 202,000円 or 242,000円

上記で気になる点は「定款認証印紙代」に費用が、0円か40,000円のいずれかになっていることです。この差額は、作成した定款を紙ベースで認証をしてもらうのか?それとも電子認証してもらうのか?で収入印紙が必要・不要が変わるからです。

電子認証の場合は、特に収入印紙が不要となるため、その費用である40,000円が発生しないことになるわけです。これだけを見れば「だったら電子認証してもらって40,000円を浮かせよう」と考えてしまいますよね。

自然な流れだと思いますが…電子認証をしてもらうためのステップが非常に大変だということは念頭に置いておいてください。例えば、ICカードリーダライタを用意してみたり、電子証明書を取得してみたり…いずれも面倒な作業です。

そこで、電子定款だけを専門家に代行してもらうという手もあります。代行手数料は、ピンきりですが、相場は10,000円程度です。

概要 費用
《定款認証印紙代》 0円
《定款認証手数料》 52,000円
《登録免許税》 150,000円
*電子認証代行手数料* 10,000円
[合計] 212,000円

定款認証印紙代が無料になる代わりに、電子認証代行手数料として10,000円が加算されます。それでも、212,000円の費用となるだけです。自分自身で電子認証をするとなった場合、ざっくりと述べ3日間かかったとします。

しかし、代行してもらえば1日で完了することもあります。となれば、2日間の時間を10,000円で購入したと思えば「安い」と感じる人も多いのではないでしょうか。

専門家に委託した場合に発生する費用は?

専門家に会社設立を委託した場合は、当然、委託費用が発生します。これがどれくらいの値段になるのか?が最重要ポイントになりますが…こればかりは委託する専門家によって大きく異なってくるため、正確な数字を出すことはできません。

ということで、以下で紹介する費用はあくまでも「目安」であることを、ご理解の上、参考にしてみてください。

概要 費用
《定款認証印紙代》 0円
《定款認証手数料》 52,000円
《登録免許税》 150,000円
*電子認証代行手数料* 10,000円
*会社設立代行費用* 44,000円
[合計] 256,000円

専門家によっては、会社設立代行費用の中に、電子認証代行手数料を含むケースもあります。また、定款認証を紙ベースでお願いすることも可能です。

ただし、そのときは、定款認証印紙代の40,000円を請求されることになります。これを見て「高いな」と感じる人に、ちょっとした提案があります。

「会社設立代行費用と会社設立に必要となる費用を専門家側が負担して代行する方法がある」というものです。つまり、0円で会社設立をする方法で…そのカラクリは「税理士と顧問契約を結ぶことを前提に会社設立」となります。

概要 費用
《定款認証印紙代》 0円
《定款認証手数料》 52,000円
《登録免許税》 150,000円
*電子認証代行手数料* 10,000円
*会社設立代行費用* 44,000円
※顧問契約割引※ -256,000円
[合計] 0円

もし、会社設立後に、税理士と顧問契約をしようと考えていたのであれば、渡りに船的なサービスになるかと思います。ただし、逆に、全く考えていないのであれば、無理に契約もする必要がないため、普通に代行手数料を支払って会社設立をするとよいでしょう。

そもそも顧問契約を結ぶなのか?の判断は、設立する会社の規模だったり、事業内容だったりで、判断は変わってきます。しっかりと先を見据えて「どうすることがベストな選択なのか?」が大切になってくるわけですね。

専門家に委託した場合のメリットとデメリットを知ろう

以下の表に、自分自身で会社設立した場合と、専門家に代行を委託した場合の、メリット・デメリットをまとめたので、まずは一読ください。

メリット デメリット
自分自身で会社設立を行う ・代行手数料が発生しない
・会社設立までのノウハウを手にすることができる
・達成感を得ることができ愛着が湧く
・面倒な作業が多い
・時間を多く要してしまう
・会社設立失敗の可能性がある
・知らないことが多く「抜け」「漏れ」がある可能性がある
専門家に会社設立を委託 ・確実に会社設立することができる(失敗した場合の補償もある)
・面倒な作業が一切ない
・短期間で会社設立することができる
・代行手数料が発生する
・会社設立のノウハウを蓄えることができない
・自分自信で会社設立したときほどの達成感はない

メリット・デメリットを比較をした場合、焦点となってくるのは「費用対効果」の部分になると思います。専門家に委託をした場合のメリットとして「面倒な作業が一切ない」「短期間で会社設立することができる」という部分に、いくらぐらいのお金を支払えるのか?ということです。

ここは人それぞれの価値観の問題になってくるため、線引きは難しいところです。とはいえ…自分自身で会社設立をしたとき「どれくらいの日数を要するのだろう?」と考えれば…この日数分が丸々と空くことになります。

そのため、会社設立後の事業展開の準備など、スタートに向けての時間的な余裕を購入することができるわけです。そう考えれば、たかだか数万円で会社設立前の大切な時期の時間を購入できると思えれば、安い買い物なのかなと感じます。

会社設立の専門家とは?

ここで1つ質問をさせてください。会社設立をしてくれる専門家とは…どのような人たちでしょうか?意外と知らない人も多いのではないでしょうか?

しかし、専門家の名前を聞くと…実は馴染み深い人たちなので「え?会社設立もしてくれるの?」と驚く人も多いかもしれません(それでも直接的に何かの仕事を委託する人は少ないかもしれませんが…)。

と、前置きが長くなってしまいましたが、その専門家とは「税理士」「司法書士」「行政書士」「社会保険労務士」です。当然、どの専門家も得意としている領域が異なります。

したがって、その得意分野をしっかりと理解して「どこに委託をしにいくのか?」を決める必要がでてきます。

会社設立を税理士に委託した場合

税理士の仕事は「税務」「決算」のようなお金を扱うことです。したがって、会社設立の委託をした場合は、お金の面で大きなメリットが出てきます。

反面、お金を専門に扱う業種になるため、会社の根幹となる事業計画や会社のルール作りなどが苦手な領域になります。

税理士に委託した場合のメリットとは?

顧問契約を前提にすれば格安で会社設立が可能

先ほど少し触れましたが、税理士を顧問契約することを前提に会社設立をお願いすることで、会社設立に必要な費用が格安にすることが可能です。場合によっては、0円で会社設立することもできます。

また、顧問契約することで享受できるメリットも多いです。顧問契約をする以上、費用が発生することになりますが、それを差し引いても大きなメリットになることも多いです。

顧問契約をすれば上手な節税をすることができる

会社設立と同時に顧問契約をすることで設立費用を安くすることができるだけではなく、ランニングコストとなる「税金」の面で大きなメリットを享受することができます。それが「節税」です。

会社を運営していく中で、対応するのか?しないのか?で大きな差額が発生する税金が上手に節税をすることができるわけですから…これも大きなメリットとなります。また、節税をしすぎると逆にデメリットになることもあるため、この辺りのバランスも取ることが可能です。

会社設立時の資本金の設定を相談できる

会社設立時に頭を悩ませるのが、この資本金です。少なすぎず、多すぎずが大きなポイントになるため、これが相談できるメリットは非常に大きいポイントになります。

例えば…資本金絡みで、消費税を2年間免除されるなど、節税対策もあるため、これも視野に入れた資本金設定ができるわけです。

会社設立時の役員報酬など給与面の相談ができる

資本金と同じく頭を悩ませるのが、役員の報酬だったり、社員への給与金額です。こちらも多すぎず・少なすぎずがポイントになります。

というのも、給与控除など税金面の控除も視野に入れて決定することが望ましいからです。税理士が会社設立の手伝いをしてくれる場合、この辺りも親身になって相談に乗ってくれます。

資金調達にも長けている

会社設立をするとき、そして会社設立をした後…何かとお金が必要となってしまい資金調達をしないといけないとなった場合でも、税理士は大きな力になってくれます。

というのも、税金的に「どういった資金調達の仕方をした方がいいのか?」ということを相談できるからです。

銀行からの融資だったり、行政からの補助金や助成金だったりと、さまざまな方法がある中で、ベストの選択ができるわけですから、会社にとっては大きな利益になります。

また、事業計画を考える上で、どういったお金の使い方をしていけばお得なのか?だったり、開業資金・運転資金・予備資金をどのように扱っていけばいいのか?の相談にも乗ってくれます。

税理士に委託した場合のデメリットとは?

法務局への届け出の代行をすることはできない

会社設立をする場合、登記をしないといけませんが…残念ながら税理士では登記業務をすることができません。したがって、自分自身で作業を行っていくか、または登記が可能な司法書士に別途お願いをするか対応をしないといけません。

税理士の中には、このようなデメリットを想定して司法書士とタッグを組んでサービス展開をしているケースもあります。その場合、手数料は発生するものの、別途、司法書士に委託をするよりも格安になることもあるので、そういった税理士を探すとよいでしょう。

定款の作成は若干苦手

お金に関しては圧倒的な知識を持っているものの、会社の根幹となる「どんな事業をしていくのか?」「どんな会社のルールにした方がいいのか?」など、実際の会社運営に関しては、若干苦手としています。

つまり、定款の作成が苦手な分野となるわけです。まったくできないというわけではないので、自分自身もよく考えて二人三脚で話を進めていくとよいでしょう。

ちなみに…もし司法書士とタッグを組んでいるような税理士の場合、登記を委託すると同時に定款の作成もお願いするケースもあります。

会社設立を司法書士に委託した場合

司法書士は、主に登記業務を生業としている職業です。税理士でも少し触れたように、実は「登記は司法書士の専売特許」となっているため、税理士や行政書士、社会保険労務士に委託した場合でも、必ず司法書士が絡んできます。

ということで、司法書士に会社設立を委託した場合は、このような視点のメリットを享受することができます。

司法書士に委託した場合のメリットとは?

会社設立を丸投げすることができる

繰り返しになりますが、会社設立をするためには「登記」をしないといけなく、その登記をすることができるのは「司法書士」だけになります。これが意味することは「本当の意味で会社設立を丸投げすることができる」ということです。

定款作成に関しては、経営者の考えも含めないといけないため、二人三脚の作業にはなりますが…それ以外はすべて作業してくれるメリットがあります。時間がなく、サクッと会社設立をしたい場合には重宝してくれる存在になるわけです。

登記した内容の変更がスムーズにできる

登記業務が専売特許になるのであれば…何かしら登記した内容を変更したというケースも柔軟に対応することができます。例えば、所在地を変えたい場合や定款の内容を変更したい場合などが挙げられますが、これらがサクッと変更できるのは、思っている以上に大きなメリットです。

顧問になってもらうことも可能

税理士と同様に顧問になってもらうことも可能です。幅広い知識を持っている人たちなので、どうしても税金の面では税理士に遅れをとってしまうものの会社経営に関しての相談に乗ってくれます。

つまるところ…会社全体の運営に関しては長けているため、リスクマネジメントを始め息の長い会社にするための強い味方になってくれます。

司法書士に委託した場合のデメリットとは?

会社設立に関するお金に関しては苦手な分野

先にも触れましたが、お金に関することは若干苦手で、税理士と比較をすると、どうしても見劣りはしてしまいます。税理士も、それが仕事なので司法書士に負けてはいけない側面もあるので、当然ではありますが。

そもそも税金の制度は、細かく頻繁に法律が変わるので、この流れにも付いていかないといけません。そういった「最新情報を得る」という面でも、やはり税理士と比較をすると劣ってしまうところです。

ただまったく知らないわけではもありませんし、司法書士の中には税理士並の知識を持っていることもあります。あくまでも「若干苦手」というだけの話です。

行政書士に委託をした方がよい事業がある

行政書士は、認可申請を得意としている人たちです。具体的には、古物商だったり、飲食業の申請だったりといったところです。

この手続きができるのは、行政書士となるため、この手の業界の会社を設立するのであれば、司法書士では物足りないということにもなります。

会社設立を行政書士に委託した場合

行政書士は、行政関係の書類作成を得意としており…つまるところ、認可申請を専売特許としているわけですね。

となると…認可申請をしないといけないような業種の会社設立を委託するときに、行政書士は最大のメリットを発揮してくれます。

行政書士に委託した場合のメリットとは?

許認可が必要とする事業では水を得た魚になる

許認可が必要な業種といえば、飲食業を始め、介護事業だったり、古物商関係の業種、さらには運送業や建築業が挙げられます。これらの業種の会社設立であれば、行政書士は、まさに水を得た魚になり、設立に向けてお手伝いをしてくれます。

いろいろと面倒な手続きが必要となるケースもあるので、一考する価値は十分にあります。

行政書士に委託した場合のデメリットとは?

結局、登記はできない

特定の業種で水を得た魚のようになるとはいえ…結局のところ、登記はできないので、司法書士の出番が必ず出てしまうわけです。つまり、丸投げにすることは不可能だということですね。

当然、登記内容の変更もできないため、ここにじれったさを感じてしまうところです。

お金の面では司法書士と同様のデメリット

お金の面は、司法書士ど同様になります。税理士には、やはり敵わないため、節税などお金に関するところは見劣りしてしまう部分があります。

会社設立を社会保険労務士に委託した場合

会社設立を委託する場合、一般的なのは先に挙げた「税理士」「司法書士」「行政書士」のいずれかになることが多いですが…社会保険労務士にもお願いすることは可能です。

もちろん、登記に関しては司法書士が実際に行うことになるのは、税理士と行政書士と変わりませんが。ともあれ、会社設立のサポートを委託することは可能なので、少し紹介をしておきたいと思います。

社会保険労務士に委託した場合のメリットとは?

助成金関係に強いためコストを抑えられる可能性がある

社会保険労務士の強みはなんと言っても「助成金関係に詳しい」ということです。昨今は、国だったり地方自治体だったりが、会社設立、または会社運営に関する助成金をいろいろと用意してくれている状況です。

そして、この助成金は税金と同様に、変化の激しいモノで、常に最新の情報を手にれておきたいところで…それができているのが、この社会保険労務士となるわけです。

資金面で不安がある場合は、このような助成金はスゴイ助けになることは言うまでもなく、これを効率的に活用できるサポートしてくれるメリットがあります。

雇用保険・厚生年金の加入が同時進行で可能

助成金関係以外にも、雇用保険だったり、厚生年金についても長けている人たちです。会社設立、そして会社を運営していく中で、切っても切れない存在のため、社会保険労務士に委託をした場合は、強い味方になってくれるわけです。

会社設立を同時進行で加入の手続きなどを行っていける大きなメリットもあります。

社会保険労務士に委託した場合のデメリットとは?

会社設立を生業としているわけではない

大きな強みをいくつか持っていることは、間違いありませんが…会社設立を生業とている人たちではありません。したがって、定款の作成、登記、税金面など、不安が残ってしまう事実は、やはり頭に入れておきたいところです。

どちらかというと、会社設立は「税理士」「司法書士」「行政書士」のいずれかの人たちに行ってもらって、サポートで助成金や雇用保険・厚生年金を担当してもらうという形がよいのかもしれませんね。

まとめ

ここまで、会社設立をする場合、自分自身で設立をした方がいいのか?専門家に委託をしたら費用はどうなるのか?などを紹介してきました。委託できる専門家として「税理士」「司法書士」「行政書士」「社会保険労務士」などを紹介させてもらいましたが「業者」も存在します。

というのも、上記の専門家とパイプを持っている業者で、会社設立をしたい人との間を取り持ってくれる中間業者といったところでしょうか。こういった業者に会社設立を委託する方法もあります。

もちろん、メリットもあればデメリットもあるので、しっかりと調べた上でというお話になりますが。つまるところ「どうやって会社設立をするのか?」は、自分自身で試行錯誤をして決めていくしかないというのが、正直な結論です。

ここで紹介したような内容を見て「じゃぁ、司法書士にお願いしてみよう」と、実際に司法書士に会いに行って「どうやって会社設立をしていくのか?」をディスカッションをして感触を掴む…。

その感触も踏まえ、他の司法書士だったり、税理士だったり、業者だったりと、とにかくディスカッションをしていくわけですね。これを繰り返して、初めて「これでいこう!」という答えが出てくるものだと思います。

大変な作業ではありますが、情報は力であり、指針になるものです。会社経営も通ずるものがあると考えるので、ぜひここでお伝えした内容も頭の片隅にいれてもらって、何かに役立ててもらえると、筆者としても嬉しい限りです。