シンガポールで会社設立を考えている方向けの情報をお伝えします。
日本ではなく海外で会社設立する場合に気になるのがメリットとデメリットではないでしょうか。
メリットを理解すればビジネスが成功しやすくなりますし、デメリットを把握すればリスクを避けやすくなります。
そこで、この記事では、シンガポールで会社設立するメリットとデメリットを徹底的に解説していきます。
メリットとデメリットを比較し、メリットの方が上回っていると判断されれば、シンガポールでの会社設立を前向きに検討できるでしょう。
ひとつひとつ見ていきましょう。
目次
シンガポールでビジネスを成功するために知るべきポイント
シンガポールでビジネスを成功させるには、次の2点を理解すると良いでしょう。
- インターネットの速度が速い
- 公用語が英語
インターネットが世界で一番速い
シンガポールのインフラは世界でもトップクラス、特にインターネット(4G)の速度は世界一と評判です。
シンガポールから他のアジア国へ行くと、ネット速度の遅さをダイレクトに感じるようです。
実際、シンガポール政府は光ファイバー網を進めているので、ビジネスで光回線を利用できるのが基本です。
一般家庭のネット環境も光回線が通常なので、リモートワークでもストレスなくインターネットを活用できるでしょう。
他のインフラ整備の特徴として、シンガポールは街中さまざまな所に無料のWi-Fiが設置されています。
駅のプラットホームや地方銀行にも設置されているため、外出時にタブレットやノートPCで作業をしやすい環境ではないでしょうか。
公用語が英語
シンガポールの公用語は英語なので、世界規模でビジネスをしやすい、という特徴があります。
海外に会社設立を考えているということは、その時点で英語への造詣が深いと思いますが、英語以外は分からないし専門の通訳が必要…という方も多いのではないでしょうか。
シンガポールの場合、ビジネス上の契約でも英語が使用されるため、特別に現地の通訳を雇う必要はありません。
英語さえ理解できればビジネスを進められるのがポイントです。
シンガポールで会社設立するメリット
次に、シンガポールで会社を設立する3つのメリットについてお伝えします。
- 納税額が低い
- キャピタルゲインは非課税
- アジアを代表するハブ空港がある
納税額が低い
シンガポールで会社設立するメリットとして、最初に浮かぶのが「納税額の低さ」ではないでしょうか。
実際、シンガポールの法人税の最高税率は17%(実効税率10%以下)ですし、個人に課税される所得税の最高税率も22%です(優遇措置や還付があるので、実効税率は低くなっています)。
この数字は日本よりも低く、場合によっては日本の半分以下の税金で済むため、ビジネスが軌道に乗って利益が増えれば増えるほど、税率の違いは響くでしょう。
このような納税額の低さは、シンガポールで会社を設立する非常に大きなメリットです。
キャピタルゲインは非課税
キャピタルゲインとは、株式などの資産を売却して得られる売買差益を指しますが、シンガポールでは非課税です。
個人だけでなく、法人としてキャピタルゲインを得ても税金が課税されないのは大きなメリットでしょう。
ただし全てのキャピタルゲインが非課税というわけではありません。
たとえば2012年6月1日以降の株式譲渡に関して、「株式を最低24ヵ月以上かつ20%以上を保有していること」という判断基準が定められています。
判断基準に該当しない場合は注意が必要ですが、「シンガポールの法人はキャピタルゲインに税金がかからない」というのは魅力的なメリットです。
アジアを代表するハブ空港がある
シンガポールにはアジアを代表するチャンギ空港があるので、ハブ空港としてアジアの主要都市に行くことが可能です。
中東やインドへの直行便も多く、大半のアセアン諸国に3時間以内で着けるという魅力があります。
たとえば北海道の新千歳空港から、那覇空港までの搭乗時間は3時間35分ですから、日本での国内出張と近い感覚で利用できるのではないでしょうか。
他にもチャンギ空港は、アクセスの良さでも知られています。シンガポールの中心部からチャンギ空港まで、タクシーで20分ほどの距離なので、移動の負担が軽いのです。
また、シンガポールの居住者が利用できる無人のイミグレーション・レーンも魅力的です。長蛇の列に並ぶ必要がないため、搭乗までの時間を短縮できます。
ビジネスはスピード勝負とも言えますので、チャンギ空港は時間の節約という面からもメリットが多い空港です。
シンガポールで会社設立するデメリット
シンガポールで会社を設立する次のデメリットもおさえておきましょう。
- 不動産価格が高い
- 車関係の税金が高額
- シンガポールだけでビジネスをしても収益が見込めない
不動産価格が高い
シンガポールの不動産は価格が高額です。
まずオフィスの賃貸費用ですが、日本の都市部と比較しても高い傾向にあります。
シンガポールは狭いオフィスが少ないため、最低でも20万円の月額がかかるようですし、他にも家賃の2ヵ月~3ヵ月分の保証金と1ヵ月分の前家賃が必要です。
そのようなオフィスの賃貸費用はデメリットの1つに数えられるでしょう。
オフィスだけでなく、居住用の住宅費用も決して安くありません。
賃貸、分譲ともに高額で、たとえばシンガポールの中心部で2LDKを借りると、月額35万円~50万円の費用がかかります。
シンガポールの不動産価格は東京都内より高い、くらいの意識を持っておくと良いでしょう。
車関係の税金が高額
シンガポールは車関係の税金が高額です。さらに駐車場代やガソリン代が経費に認められていないため、低年収の方が車を購入・維持することは難しいようです。
前述したように法人税や所得税には恵まれているシンガポールですが、車関係の税金は高額なので注意が必要です。
ただし税金が高額なおかげで車が少ない、車が少ないおかげで交通渋滞がほとんどない、というメリットがシンガポールにはあります。
シンガポールだけでビジネスをしても収益が見込めない
シンガポールの人口は約560万と決して多くありません。これは日本で7番目の人口の兵庫県と同じ程度で、東京と比較すると半分以下、神奈川、大阪、愛知、埼玉、千葉よりも少ない人口となります。
そのため、シンガポール国内だけを対象にビジネスを行っても、大きな利益は望めない可能性が高いでしょう。
業種・業態によっても変わりますが、シンガポールで会社を設立するなら、他国への展開が必須かもしれません。
メリットの項目でお伝えしたように、シンガポールはアジアのハブとして優れた立地にありますので、多様な展開を見据えたビジネスを検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
シンガポールはネット速度が世界一と評判で、公用語として英語を使えるという特徴があります。
メリットで最初に挙げられるのは納税額の低さです。会社にかかる法人税、個人にかかる所得税ともに日本より低く、キャピタルゲインが非課税というメリットもあります。
他にも、アジアを代表するハブ空港があるので、シンガポールを中心にビジネス展開しやすい環境です。
デメリットとしては、不動産価格の高さ・車関係の税金の高さ・シンガポールの人口の少なさがあります。
オフィスも住居も賃貸費用が高いのはデメリットですし、車を運転するのが好きな方にとっては、車関係の税金の高さもデメリットになるでしょう。
人口の少なさに関しては、アジアを見据えたビジネス展開を考えている方にとっては、大きなデメリットにはならないでしょう。
以上、この記事では、シンガポールで会社設立する場合のメリット・デメリットについての解説を行いました。