作成日:2020.10.20  /  最終更新日:2020.12.11

会社設立の費用を無料・最安で行える業者のウラ側【実は損するケースも】

会社を設立するための法定費用として、株式会社であれば登録免許税15万円と定款認証代5万円の合計「20万円」、合同会社であれば、登録免許税の「6万円」があります。

本来であれば皆さんが必ず支払わなくてはならない費用ですが、インターネットで会社の設立を調べてみると、株式会社の設立費用が法定費用も含めて0円~10万円以下という業者が見受けられます。

株式会社であれば代行業者の報酬の0円にしても必ず20万円はかかるはずなのになぜその半額以下で設立することができるのでしょうか。今回はそんな格安業者の費用の裏側をご紹介します。

「会社設立費用が最安!」と謳う業者は意外とある

インターネットで「会社設立 格安」と調べれば、信じられないほど安い料金で会社設立を代行している業者がいます。

実はこれには「初期費用だけ格安」という落とし穴があるので、格安業者をご紹介しつつ、裏側を解説します。

最安業者(1)『Bricks&UK』

Bricks&UKはBricks&UKグループが運営している会社設立支援サービスです。設立にかかる費用が9万円と本来かかる費用の半額以下で代行しています。しかし、この格安料金が適用されるためには税理士との顧問契約が必要になります。

株式会社の場合 会社設立のみ 税理士セットプラン
定款認証代 51,230円 51,230円
登録免許税 150,000円 150,000円
報酬 54,770円 54,770円
割引   -166,000円
合計 256,000円 90,000円

税理士とのセットプランを適用することによって、「166,000円」が割引されます。顧問契約を結ばない場合は法定費用に加えて報酬として「54,770円」かかります。

合同会社の場合 会社設立のみ 税理士セットプラン
登録免許税 60,950円 60,950円
報酬 59,050円 59,050円
割引   -120,000円
合計 120,000円 0円

合同会社の場合は「120,000円」割引でなんと初期費用が「0円」で会社を設立することができます。

※合同会社の登録免許税は6万円で固定なので、Bricks&UKの登録免許税の60,950円という金額は少し疑問が生じます。(商業登記も不動産登記も登録免許税は1,000円未満切り捨てです。)

では肝心の税理士の顧問料を見ていきましょう。

月額 35,000円~

Bricks&UKは最低月額顧問料が35,000円からになっており、会社の規模や業務の内容によって料金がかわります。

Bricks&UKの概要

名前 税理士法人Bricks&UK
代表 梶浦 潮
区分 税理士
住所 愛知県名古屋市中区丸の内2丁目18-25 丸の内KSビル7F
電話番号 052-228-0758

最安業者(2)『新会社設立.jp』

会社設立.jpは株式会社WOOROM(ウーロン)が運営している会社設立サービスです。手続きは提携している行政書士や司法書士が行っています。

会社設立費用の全額を後払いに出来ること、カード決済が可能なことがポイントです。税理士が運営しているわけではないので、顧問料はかかりません。

株式会社の場合 会社設立くん 40DAYSスペシャル 1日高速設立
定款認証代 50,000円 0円 50,000円
登録免許税 150,000円 150,000円 150,000円
報酬 4,680円 36,500円 14,300円
合計 204,680円 186,000円 214,300円
合同会社の場合 会社設立くん 1日高速設立
登録免許税 60,000円 60,000円
報酬 4,680円 14,300円
合計 64,680円 74,300円

報酬が「4,680円」ととても安い金額で設立代行を行ってくれます。

新会社設立.jpの概要

名前 新会社設立.jp
運営会社 株式会社WOOROM
住所 東京都港区六本木5丁目16−50 デュープレックスM s407
電話番号 03-3586-1520

最安業者(3)『会社格安センター』

会社格安センターは行政書士と司法書士の夫婦で提供している会社設立代行サービスです。人件費やコストを削減し、業界最安値の報酬を目指しています。また、顧問料などはありません。

株式会社の場合
定款認証代 52,000円
登録免許税 150,000円
報酬 7,600円(税抜)
合計 209,600円
合同会社の場合
登録免許税 60,000円
報酬 7,600円(税抜)
合計 67,600円

会社格安センターの概要

名前 会社格安センター
代表 井坂信彦
住所 神戸市中央区八幡通4-2-14 トロア神戸ビル4階
電話番号 0120-961-759

会社設立の費用を最安で行ってくれる2つのワケ

会社の設立費用が安くなる理由は「顧問料など有料サービスの加入」または「コスト削減により受注を増やしている」の2つがあります。

ワケ(1)セット契約を条件にして利益を出している

税理士が運営している会社設立代行サービスで格安プランを提供している場合はほぼ「顧問料など有料サービスの加入」が条件となっています。

先ほどご紹介したBricks&UKを例に説明すると、最低顧問料が35,000円とした場合でも顧問契約を5か月続けるだけで、割引額の166,000円を超えて、プラスの利益になります。

顧問の内容が充実しているという理由もありますが、皆さんの立場で税理士を特に必要としていない場合、初期費用が安くても5か月後には損をしていることになります。

ワケ(2)業務の効率化やIT化の力で費用を下げている

顧問契約をせずにただ報酬が安い業者は可能な限りコストを下げ、受注数を大幅に増やしています。

会社格安センターを例にすると、7,600円といった格安の報酬ですが、行政書士と司法書士が同じ現場におり、書類の受け渡しが迅速であることと、対面相談がなく、すべてメールやファックスで完結しています。

このようにIT化による人件費の削減、効率化を図っているため、このような格安の報酬を得ています。

さらに、これだけ安い報酬なので、数を多くこなす必要がありますが、その方法として、インターネット上での広告に費用を使い、ホームページへの誘導及び受注数を増やしています。

会社設立の法定費用など込みで完全無料で対応する業者もある

ほかにも報酬だけでなく、登録免許税や定款認証代すらも0円にしている業者も存在します。

『ゼロえもん』は設立にかかる法定費用や代行費用が0円

ゼロえもんは株式会社Wizが運営している会社設立代行サービスです。
本来であればかかるはずの定款認証手数料、登録免許税、司法書士への報酬がすべて0円となっています。いったいどんなからくりがあるのでしょうか。

会社設立の費用を無料にできるワケも「セット契約」

このゼロえもんの利用規約を見ると、まず0円サービスを利用するためには会社設立後に税理士との顧問契約を結ぶことが条件となっています。

こちらのサービスは少しわかりづらい内容ですが、まず、ゼロえもんを申し込むことにより、運営会社と「創業サポート契約」及び提携司法書士事務所と「会社の設立登記契約」を結ぶことになります。

本来であれば、この提携司法書士事務所に皆さんが報酬を支払うはずですが、その報酬を運営会社が第三者弁済(皆さんが支払うはずの報酬を代わりに払うこと)をしています。

登録免許税などの法定費用のみゼロえもんに振り込んだ後、税理士との顧問契約の締結を条件にキャッシュバックするという仕組みになっています。

  • ①利用者→サービスを申し込み
  • ②運営会社及び提携事務所とそれぞれ契約
  • ③運営会社→提携司法書士に報酬を代わりに支払う
  • ④利用者→ゼロえもんに実費を振り込み
  • ⑤会社設立後、税理士と顧問契約
  • ⑥振り込んだ実費を利用者に返金

運営会社からすれば、キャッシュバックの金額よりも高い金額で顧問契約や運営会社が提供しているサービスを購入することを条件に設立費用を0円にしているため、ゼロえもんを利用すれば必ず運営会社に利益が入るようになっています。

まとめ:最安業者に依頼する前に知るべきポイント

最安業者を利用する際に必ずチェックしてほしいところは、設立後を考えたときに損をしていないかということです。

確かに設立登記にかかる費用が0円~10万円というのはとても魅力的です。ぜひ依頼したいと思う気持ちもわかりますが、数か月後に会社設立のみ代行してもらった方が安かったということになりかねません。

特に税理士と顧問契約を結ぶことを条件に最安業者を利用した場合、税理士が本当に必要であったかを考えましょう。

仮に税理士が不要であった場合、数か月後には設立登記の代行費用よりも余計な出費の方が高くなっています。

そのため、最安業者を探す場合には必ず「セット価格になっていないか」・「セットの内容は本当に必要か」をじっくり考えてから利用しましょう。