「ベトナムで会社設立するメリットには何があるの?」
「ベトナムのデメリットについても事前に知っておきたい」
そのようにお考えの方向けに、ベトナムで会社設立する際のメリット・デメリットについて解説します。
メリットだけでなくデメリットを理解することで、ベトナムで会社設立することの現実的なプランを考えやすくなるでしょう。
最初に「ベトナムでビジネスを成功させるポイント」をお伝えしてから、メリットとデメリットをご説明しますので、ぜひおさえて頂ければと思います。
目次
ベトナムでビジネスを成功するために知るべきポイント
まずはベトナムでビジネスを成功するために知るべき2つのポイントを解説します。
- 家族を重視する文化
- 親日国
家族を重視する文化
ベトナムは儒教思想が浸透している国で、家族との関係を重視する文化を持っています。
現地でベトナム人を雇用する場合は、上司が親のような態度で若い人材に接したり、プライベートな時間も家族ぐるみで付き合う必要があるかもしれません。
それと共にベトナムの文化・習慣を理解した受け入れ体制もポイントです。
ベトナム国民は平均年齢が若いので、チャレンジ精神旺盛な若者にとっては、日本企業の年功序列ベースの昇給・昇進に不満を抱くかもしれません。
「今より良い職場があるのでは?」と考えれば離職に繋がりますし、他の外資系企業に引き抜かれるケースもあります。
離職を防ぐには能力主義の評価制度を導入しつつ、前述したような家族的な付き合いが大事になるでしょう。
上司が従業員を我が子のように接する、従業員の家族とも積極的にコミュニケーションを取る、そのような努力によって人材流出を防ぎやすくなるのではないでしょうか。
親日国
ベトナム人は日本に好印象を抱いています。
1970年代からホンダのオートバイが普及して親しまれていますし、コンビニ大手のローソンが現地に研修所を設置してトレーニングを行っているため、ベトナム人にとって日本は身近な国という印象があるようです。
そのように日本製品・サービスへの信頼は、ベトナムで会社設立を考える上で重要なポイントになるでしょう。
もし反日感情が強ければ、日本製品を現地で販売しても売れないどころか、不買運動が起こる可能性もゼロではありません。
ベトナムのように日本への印象が良い国なら、スムーズに製品を流通できるのではないでしょうか。
また、国際的にもベトナムと日本の関係は良好です。
ファン・ヴァン・カイ前首相は親日家として知られていますし、ベトナム全土の小学校で日本語を教えることを訓練省が発表しています。
ベトナムで会社設立するメリット
ベトナムで会社設立する3つのメリットについて解説します。
- 1.高い経済成長率
- 2.資源が豊富
- 3.ITリテラシーが高く若い人材が多い
(1)高い経済成長率
ベトナムの経済成長率は7%以上で推移しています。
1997年のアジア通貨危機では、一時的に4.8%まで下がりましたが、その後の15年間は安定成長が続いています。
ベトナム政府の方針としても、次のようにビジネスの生産性を高める後押しを行っています。
- 貿易の自由化
- 貸出金利の引き下げ
- 税制優遇措置の実施
2007年にWTO加盟を果たした後、近年も複数国との自由貿易化が進められていますし、それに伴って貸出金利の引き下げと税制優遇措置が実施されている状況です。
また、一部の分野を除いて外資100%が認められているなど、積極的に外資を呼び込んでいるので、海外企業がベトナムで法人を設立するメリットは大きいでしょう。
(2)資源が豊富
ベトナムの豊富な資源も魅力的です。具体的に5つの資源が注目されています。
鉱物資源
エネルギー資源・鉄鉱資源が豊富で、海外のエネルギー企業が探鉱を行っています。日本企業の出光興産も合併事業を立ち上げて石油製品を生産しています。
森林資源
主に製材品や紙・パルプ、木質燃料として利用される森林資源が豊富です。国土の40%以上を森林が占めています。
水産資源
南シナ海の海産物、養殖に最適な条件と水産資源に恵まれています。最近では白身魚やエビの輸出が伸びています。
水資源
東南アジア最大のメコン川・ドンナイ川が流れ、水力発電事業に力を注いでいます。ベトナム国内の発電量も水力発電が伸びています。
農業資源
コーヒー豆・カシューナッツ・コショウの輸出量が多く、農業資源も豊富です。世界市場への供給も期待できる分野です。
(3)ITリテラシーが高く若い人材が多い
ベトナムはASEAN諸国の中で人口が多く、平均年齢は20代後半です。
勤勉な国民性なので新しい知識・スキルに積極的に取り組みますし、若い人材はITリテラシーも高いです。
国際的なビジネス展開を考える上でITリテラシーは大切ですが、現地で優秀な人材を雇用できれば大きなメリットになるでしょう。
ベトナムで会社設立するデメリット
ベトナムで会社設立する3つのデメリットについても解説します。
- インフラ整備が遅れている
- 定着率が低い
- 全域に政策や方針が行き届いていない
インフラ整備が遅れている
ベトナムは道路などのインフラ整備が遅れています。
元々が農業国家ということもありますが、ホーチミン市内でも土壌がむき出しの道路が目立ちますし、バイクの普及率が高いため交通渋滞も多いです。
光化学スモッグ・空気汚染といった環境問題もありますが、ベトナム経済が注目されたのは2000年代に入ってからなので、今後の改善も期待できるのではないでしょうか。
定着率が低い
ベトナム人は仕事の定着率が低いことで知られています。
勤勉な国民性なので、同じ会社で働き続けると考えがちですが、実際は離職率が高く、特に20代は「4人に1人が3回以上の転職を経験している」という情報もあります。
前述したようにベトナム人は家族意識が強い分、家族的なコミュニケーションが難しい職場への落胆が激しいのかもしれません。
現地でベトナム人を雇用する場合は、そのような国民性を理解した上で接する必要があるでしょう。
全域に政策や方針が行き届いていない
中央政府の決定が現場に届くまでに時間がかかるのもベトナムの特徴です。
役所での手続きも担当者によって意見が変わったり、法外な罰金・チップを要求されることもあるそうです。
政策自体も変化が激しいので、日本と同じ感覚では振り回される可能性があります。
まとめ
以上、当記事ではベトナムで会社設立する際のメリット・デメリットについて解説を行いました。
ベトナムでビジネスを成功させるには、家族重視の文化・親日国というキーワードがポイントです。
特に家族重視の文化への理解は大切で、ベトナム人を雇用した場合のコミュニケーションで意識する必要があるでしょう。
具体的にベトナムで会社設立するメリットとしては、高い経済成長率・豊富な資源・ITリテラシーが高い人材の雇用があります。
ベトナム政府は積極的に外資獲得を考えていますので、日本人にとってビジネス展開しやすい国ですし、恵まれた資源と人材を活用しやすいです。
一方、デメリットとしては、インフラ整備の遅れ・雇用後の定着率の低さ・政策の伝達問題があります。
インフラ整備は今後の課題ですが、定着率の低さはコミュニケーションや評価制度で補える可能性がありますし、政策の伝達問題は慣れが必要でしょう。