台湾で会社設立する場合に気になるのがメリットとデメリットではないでしょうか。
メリットだけでなく、デメリットについても把握することで、台湾でのビジネス展開を現実的に考えることができます。
そこで、この記事では、まず台湾の治安・慣習・政治的リスクをお伝えした後、会社設立のメリットとデメリットをお伝えします。
この記事を読むことで、台湾での会社設立をイメージできるようになりますので、ぜひおさえて頂ければと思います。
目次
台湾でビジネスを成功するために押さえたいポイント
台湾の面積は日本の九州と同じくらいで、人口は約2,300万人です。経済成長率が高く、中国や東南アジアへ進出する際の拠点として注目されています。
文化的には日本に近い側面があり、親日家が多いことで知られています。東京からは飛行機で約3時間です。
台湾でビジネスを成功させるために次のポイントを理解しましょう。
- 治安
- 慣習
- 政治的なリスク
治安
台湾は比較的治安が良いですが、他のアジア諸国と同様に注意点があります。
まずは1人で夜遅い時間に歩かないことです。どれほど治安が良い国でも、夜間の1人歩き(特に女性)はトラブルに巻き込まれないとは限りません。
他にも、持ち物を肌身離さない、スリに気を付ける、という意識が大切ですし、台湾は車やバイクが多く、歩行者優先とは限らないので注意しましょう。
最後に、台湾は夜市の大衆食堂が魅力ですが、食器などの衛生面に問題があるかもしれないので、日本から除菌ティッシュを持参する方が良いようです。
このような注意点はありますが、総合的に台湾の治安は良いと言えます。
慣習
台湾と日本で大きく違う慣習にトイレの使い方があります。ほとんどが水洗トイレではありますが、紙はトイレに流さず、便器の横にあるゴミ箱に捨てるのが一般的です。
また、台湾ではレストランで食べ残したものを持ち帰る、というマナーもあります。
一方、日本に近い慣習には下記があります。
- 買い物のレジ袋が有料なのでエコバッグを持参する
- 完全禁煙エリアが多い
- きちんと列を作って待つ
- 電車やバスには優先席がある
トイレのように異なる慣習もありますが、日本人が馴染みやすいルールが多いのではないでしょうか。
政治的なリスク
政治的なリスクには中国との関係があります。複雑な歴史を辿っているので一言では言えませんが、2020年1月の総裁選では、台湾独立派が勝利したそうです。
ただしビジネス的に見ると、台湾に本社、中国に生産工場という企業も少なくありません。
スマートフォンや薄型テレビなどを受託生産する世界的な企業、鴻海科技集団(フォックスコン)がその例です。
実際、台湾と中国はビジネス上の交流が多く、台湾と日本の関係よりも密接なので、中国市場を視野に入れた展開で強みを発揮しやすいでしょう。
台湾で会社設立するメリット
台湾で会社設立するメリットには下記があります。
- 中国・東南アジアへの進出に繋がる
- 親日国で日本語も堪能な人材が多い
- 低い法人税率
それぞれ解説します。
中国・東南アジアへの進出に繋がる
台湾で会社設立することは、中国・東南アジア諸国への進出に繋がります。
台湾で自社製品をテストマーケティングした後、中国や東南アジアで展開する、という選択肢が考えられるからです。
人材確保に関しても、言語面だけでなく、文化とビジネス習慣を理解したスタッフを雇用しやすいでしょう。
台湾で成功事例を作ることができれば、そのままビジネスモデルを横展開できる可能性があります。
親日国で日本語も堪能な人材が多い
台湾は親日度が高く、日本語を話せる人材が多いという特徴があります。
日本の芸能人が台湾で熱烈に歓迎されたというニュースも見ますし、「日本人というだけで親切にしてもらえた」という感想を抱くビジネスマンもいます。
東日本大震災の際に200億円の義援金を送ってくれたのも台湾ですし、文化的にも共通性が高く、台湾人の多くが勤勉というメリットもあります。
勤勉で親日的、さらに日本語が堪能な人材を確保できれば、台湾でのビジネス展開は楽になるでしょう。
低い法人税率
台湾は法人税率が低く、2010年度から17%に引き下げられています。17%という数字は、同じく法人税が低いことで知られるシンガポールと同率です。
日本の法人税は約30%前後ですから、台湾の法人税がいかに低いかが分かるでしょう。
さらに利益額によっては免税になるので、有利にビジネス展開できるのではないでしょうか。
また、日本は地方税(住民税や事業税)が加算されますが、台湾には存在しないので、よりメリットを享受できます。
台湾で会社設立するデメリット
次に、台湾で会社設立するデメリットについても理解しましょう。
具体的に下記のようなデメリットがあるので解説します。
- 大規模な工場移設などに向いていない
- タックスヘイブン対策制度が適用される恐れ
- 少子高齢化が加速している
大規模な工場移設などに向いていない
前述したように台湾の面積は九州と同程度と決して広くないため、大規模な工場移設などには向いていません。
実際、台湾に進出している日本企業の工場はコンパクトな成り立ちをしているようです。
製品を生産するインフラ設備が日本より不十分、という情報もありますし、台湾で大規模な工場移設は現実的ではないでしょう。
ビジネスマーケットも限られていて、B2Bに関しては中小企業をメインターゲットにする機会が多くなります。
また同じ業界で横の繋がりが強いという情報もありますので、口コミ・評判が広がりやすいビジネス環境と言えるでしょう。
タックスヘイブン対策制度が適用される恐れ
法人税率が低いという点は台湾で会社設立するメリットですが、タックスヘイブン(租税回避地)には注意が必要です。
税金を回避する目的で台湾に子会社を設立すると、日本の親会社に対する「タックスヘイブン税制対策」が適用される恐れがあるのです。
その辺りは株式の取得割合や、日本の株主の所得とみなされるかどうかなど複雑なので、事前に税理士に相談する方が良いでしょう。
少子高齢化が加速している
台湾は少子高齢化が加速しています。
日本も身近な問題なのでイメージしやすいと思いますが、台湾の方が日本よりも深刻という情報があります。
少子高齢化によって国の医療費負担が重くなりますし、国民健康保険料をアップしなければ現状の制度を維持できない可能性も生じます。
若年層が減ることで、将来的なGDPへの影響も考えられますし、若くて優秀な人材の確保が難しくなるかもしれません。
今すぐの問題ではなくても、日本と同じように少子高齢化というキーワードは頭に入れる必要があるようです。
まとめ
この記事では、台湾で会社設立するメリット・デメリットについて解説しました。
台湾は日本と文化的な共通性が高く、中国や東南アジア諸国に進出する際の足がかりにしやすい国です。日本語に堪能で勤勉な人材を確保しやすい、というメリットもあります。
シンガポールと同率の法人税率の低さ(17%)もメリットですが、タックスヘイブンには注意が必要です。
ただし台湾の面接は決して広くないため、大規模な工場移設は現実的ではありませんし、ビジネス市場も限られているため、あくまでも中国・東南アジア市場を視野に入れた展開がポイントになります。
少子高齢化も考慮する必要はありますが、そのようなデメリットを差し引いても、台湾で会社設立するメリットは多いのではないでしょうか。