「マレーシアで会社設立するメリットが知りたい」
「メリット以外にもデメリットをしっかり把握したい」
マレーシアで会社設立してビジネスを展開するには、メリットとデメリットの理解が大切です。
メリットを把握することで前向きに法人設立を検討できますし、デメリットを理解すればリスクをおさえられるでしょう。
そこで、この記事では、まずはマレーシアの基本情報をお伝えした後、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
この記事を読むことでメリットとデメリットを比較できるようになりますので、ぜひおさえて頂ければと思います。
目次
マレーシアの基本情報
マレーシアで会社設立する際に知りたい基本情報をお伝えします。
まずマレーシアは文化的に多様性があり、マレー語・英語・中国語・タミール語が共存している国家です。信仰されている宗教もイスラム教・仏教・ヒンドゥー教・キリスト教と多様です。
日本への理解が深い親日国として知られますが、マレー系の方々を優遇する政策(ブミプトラ政策)や、東南アジアに特徴的な「短期間で転職を繰り返す傾向」には注意が必要です。
従業員の給料を下げるのも難しく、リストラの際は新入社員から解雇する、という特徴もあります。
スタッフを採用しても急に出社しなくなることもあれば、店舗スタッフがお金を盗む可能性もあるようなので、セキュリティ面にも気を配る必要があるでしょう。
また、マレーシアは輸入ビジネスが難しいという情報も見られます。
日本から現地に製品を輸入しようと思っても、税関の基準がグレーなので、そのときどきで課税の有無が変わるようです。
他にも、イスラム教の伝統行事「ハリラヤ」の時期は賄賂が増える、という情報もあります。
治安は悪くありませんが、タクシーを利用して不当に料金が高くなったり、目的地とは別な場所に連れて行かれる、といったこともあるので、自家用車・チャーター車で移動する方が安全です。
マレーシアで会社設立するメリット
マレーシアで会社設立するメリットに下記があります。
- 日本への理解が深く、親日国家
- 外資企業の誘致が積極的
- 若年層を中心とした人口増加
1つずつ解説します。
日本への理解が深く、親日国家
マレーシアで会社設立する1つ目のメリットに「日本に好意的な親日国家」があります。
マレーシアは以前から親日的でしたが、2018年5月にマハティール新政権が誕生後、さらに日本への理解を深めているようです。
マハティール氏は過去に「日本の集団主義と勤労倫理を重んずる政策」を推進していましたし、2019年5月の来日時も、日本企業に対して、「マレーシアをASEANのハブとして活用してほしい、輸出拡大も目指してほしい」と述べています。
2020年にマハティール氏からムヒディン氏に首相が交代しているため、今後どうなるか不透明な部分はありますが、日本に好意的という国民の意識は変わらないのではないでしょうか。
実際、日本語を話せるマレー人も多いようなので、日本人の精神性・国民性・モラル面を理解してもらいやすいという魅力があります。
外資企業の誘致が積極的
マレーシアで会社設立する2つ目のメリットに「外資企業の誘致に積極的」が挙げられます。
マレーシアでは2009からサービス産業の自由化が進んでいて、外資に対する資本金の規制が緩和されました。
製造業やサービス業に制限はあるものの、それ以外は100%外資が認められているので、日本企業にとって進出しやすい状況でしょう。
また、近年マレーシアではショッピングモールの建設が進んでいるため、好立地の場所で店舗を出せる可能性があります。
外資が歓迎される背景も伴って、テナント料についても交渉しやすいようです。
若年層を中心とした人口増加
3つ目のメリットは「若年層を中心とした人口増加」です。
マレーシアの人口は約3000万人と多くありませんが、出生率と人口増加率が高いため、2025年には人口3500万人に達すると予想されています。
日本は高齢者が多く、若年層より貯蓄率は高いものの、日常生活で消費するお金は低いでしょう。
その点、マレーシアは消費意欲が高い若年層が増えることに加え、1人当たりの所得も急上昇しているため、現地でビジネス展開しやすい(商品を買ってもらいやすい)というメリットがあります。
マレーシアで会社設立するデメリット
マレーシアで会社設立するデメリットには下記があります。
- 人種による対立
- 宗教・文化の違い
- 人材の定着率が悪い
人種による対立
最初のデメリットが「人種対立によるマレー系優遇政策」です。
マレーシアでは、経済的に豊かな中国人と、先住民であるマレー人が対立してきた歴史があり、経済格差を考慮してマレー人を優遇する政策(ブミプトラ政策)が行われてきました。
すでにブミプトラ政策は見直されていますが、現在も影響は残っています。
たとえば政府から補助金を受けるには、マレー系の資本が過半数を超えていなければならない、などの基準です。
実際、政府系の入札に関しては、マレー系の経営幹部がいなければ受注が難しいという情報があります。
このような政策の影響は、現地で会社設立を考えている日本企業にとってデメリットになり得るでしょう。
すぐにマレー系の資本や、マレー人の経営幹部を加えるのは難しいと考えられるからです。
宗教・文化の違い
2つ目のデメリットは「宗教・文化の違いとハラル認証」です。
マレーシアは宗教的に多様なので注意しなければなりません。
無宗教が多い日本人にとって、宗教への理解が海外進出のポイントになることがありますが、マレーシアも同様です。特にイスラム教の文化を理解することが大切です。
イスラム教にはハラル認証というものがあります。ハラル認証とは、イスラム教が禁じている豚肉やアルコールなどを使わない製造の証明です。
過去に日本の大手企業がハラル認証を取得できなかった、という事例もあります。
また、女性を対象にしたアパレル事業にも注意が必要です。
女性の多くはヒジャブと呼ばれる布を纏っていて、信仰度合いによっては顔と手以外を全て隠していることがあるからです。
人材の定着率が悪い
3つ目のデメリットに「人材の定着率が悪さ」があります。
東南アジアで従業員を採用する場合はジョブホッピング(短いスパンで転職を繰り返すこと)を覚悟しなければなりません。
特にマレーシアは移民が多い国なので、ジョブホッピングが起きやすいようです。
転職を引き止める方法も人種によって異なります。
たとえば中華系には給料アップが効果的ですが、微妙な賃金アップではなく、年間20%の昇給率でようやく引き止めに成功すると言われています。
一方、マレー人はのんびりした性格が多く、同僚や会社への愛着が高ければ転職を留まる傾向にあるそうです。
このようにジョブホッピングの対策も考えられますが、短期間で転職されやすいことはデメリットです。
まとめ
当記事ではマレーシアで会社設立する際のメリット・デメリットを解説しました。
マレーシアは移民が多く、文化・宗教も多種多様です。日本への理解が深い親日国ではありますが、ブミプトラ政策やジョブホッピングはデメリットになり得ます。
ただし外資企業の誘致が積極的な国ですし、若年層を中心に人口が増加しているのは大きなメリットでしょう。