作成日:2020.10.29  /  最終更新日:2020.12.11

【知識ゼロでもわかる】会社設立費用の仕訳方法と経費の範囲を解説

会社を設立するときには様々な費用が掛かります。実は会社設立前に発生した費用でも経費として計上することができます。今回は会社の設立前後にかかった「創業費」や「開業費」の違いやそれぞれの勘定科目の決め方、会計処理について詳しく解説します。

「創業費」とは

創業費は創立費ともいいますが、会社を設立する前にかかる費用のことをいいます。

例えば、株式会社の設立に必要な公証役場での「定款認証代」や法務局に申請する「登録免許税」、「司法書士報酬」などが該当します。

しかし、いくら設立前にかかった費用とはいえ創業費として経費に計上できないものもあるので詳しく見ていきましょう。

「創業費」に含まれる費用

それではさっそく創業費として計上できる経費についてご紹介します。先ほども説明した通り、会社の設立にかかる費用は創業費に含めることができます。

定款認証代

会社を設立するにおいて最初に作るのが会社のルールブックである「定款」です。株式会社を設立する場合には、定款は公証役場にて公証人に認証してもらう必要があります。

定款認証の費用は紙による定款認証の場合は収入印紙代4万円を含めた約9万円、CD-ROMに入れる電子定款の場合は約5万円かかります。

登録免許税

会社は登記をしなければ、法人格が認められません。登記は会社の本店所在地の管轄である法務局に申請することになりますが、株式会社の設立の場合は15万円、持分会社の場合は6万円の登録免許税がかかります。

司法書士報酬

会社の設立登記は発起人が自分で作ることが可能ですが、必要書類や手続きの流れが分からない場合は専門家である司法書士に依頼することができます。

司法書士の報酬には定款作成、登記書類作成、登記代行などが含まれますが、これらをまとめて司法書士報酬として創業費にすることができます。

発起人報酬

会社を作るときは発起人が自ら株主および役員になることが多いため、発起人の報酬という概念は少ないと思います。

しかし、発起人が会社を設立するという労力に対して報酬を支払うことは可能です。この報酬も創業費になります。

報酬は定款の絶対的記載事項ではありませんが、定款に記載をしておくと万が一税務調査が入った場合でも分かりやすいです。記載例はこちらです。

(発起人の報酬)
第15条 発起人の報酬は金〇〇円とする

株主募集のための広告費

最近では発起人に資本がない場合に、外部から資金を調達する方法として、クラウドファンディングを利用することが増えてきました。

クラウドファンディングを使う場合におけるホームページの利用料や広告宣伝費などは、会社を作るために必要経費であるため、創業費に含まれます。

創立総会における費用

発起人が集まって会議をする場合に、例えば会議室を借りたりすればレンタル料や資料を作るための費用が掛かります。当然設立に必要な経費に該当するので創業費に含まれます。

「開業費」とは

開業費とは、会社を設立してから実際に事業を始めるまでにかかる費用のこといいます。こちらは会社の業種によっても大きく異なりますが、「事業を開始するために必要となった経費」というイメージを持つとわかりやすいと思います

「開業費」に含まれる費用

開業費は会社の設立以降に事業を始めるまでの費用なので、ある程度範囲が狭くなります。

店舗の調査費

会社を作った後に、飲食店を営む場合は店舗の調査をしますが、かかる費用は開業費に該当します。

打合せにかかる費用

創業費にもありますが、同じ打ち合わせでも会社を作った後に今後の開業に向けての会議、打ち合わせにかかる食事代や会議室のレンタル料も開業費に該当します。

広告費

会社を宣伝できるのは当然会社を作った後です。会社の案内や広告にかかるパンフレット、さらに、会社のホームページの作成を外注した場合は支払った費用も開業費に該当します。

名刺の印刷代やデザイン料

会社が設立されると、社名や住所、電話番号を名刺に入れることができます。かっこいいデザインを作るためのデザイン料や数百枚単位で発注する印刷料は開業費として計上することができます。

「創業費」「開業費」に含まれない費用

次に創業費に含まれない費用をご紹介します。経費自体にはなるけども、創業費ではなく、別の勘定科目に該当することもあります。

仕入れにかかる費用

商品を販売目的で仕入れた物は開業してから販売し、利益を得るものなので、開業費ではなく、「売上原価」となります。

地代・家賃

開業前に事務所を借りた場合は設立に必要なのでは?と疑問に思うかもしれません。

しかし、事務所家賃や水道光熱費などの「毎月又は一定の間隔でかかる費用」は創業費や開業費にすることができません。

同じく事務所を借りる際に支払う敷金や礼金も同じく該当できません。
※余談ですが、のちに返金される敷金は「長期前払費用」、返ってこない礼金は「地代家賃」となります。

定款作成を司法書士に依頼した場合の処理とは

会社を作るときに欠かせないルールブックこと「定款」は、自分で作ることもできますが、司法書士などの専門家に作成してもらうこともできます。

定款を作成してもらった際には報酬を支払うことになりますが、こちらも「創業費」に該当します。

※創業費でも説明しましたが、司法書士にお願いする場合は定款作成から登記まで一括して依頼するのが基本です。

会社設立の費用は簿記上では「繰越資産」で処理

創業費や開業費は会計上では「繰延資産」に該当します。繰延資産に当てはまる経費は税務上では期間を決めて償却することができます。

「繰越資産」とは

創業費や開業費は「繰延資産」に該当します。繰延資産とは、会社が支出した費用が1年以上の支出効果が及ぶ資産のことです。資産といってはいますが、あくまで「費用」というイメージを忘れないでください。

例えば、交通費や交際費など、その場限りの費用もあれば、創業費・開業費のように支払った費用もあります。後者の場合はパソコンなどの固定資産のように、資産として数年にわたって償却することができます。

自由に償却できるため節税効果も期待できる

創業費や開業費は「5年」の償却期間です。例えば予想よりも黒字が出た年はそれぞれの費用を経費に計上することで節税対策をすることができます。

「創業費」と「開業費」の仕訳の書き方

仕訳とは、取引を勘定科目の種類を分類することをいいます。お金の出入りを明確にすることで会計処理を円滑に行うことができます。

しかし、簿記などを勉強していないと勘定科目や「借方」・「貸方」のイメージがよくわからないと思います。

そんな時にぜひとも覚えてほしいのが「勘定科目という袋にお金が入ってきたらプラス。お金が出て行ったらマイナス」こういうイメージを持つととても分かりやすくなります。

まずは会社の設立ということで、「資本金」を記載していきましょう。

例えば株式会社を作るために、発起人が振込で200万円を資本金として会社に入金したとします。その場合の仕訳は以下のようになります。

借方   貸方  
現金 2,000,000 資本金 2,000,000

<ポイント>
仕訳は利益や資産(+)の「借方」を左に、出費(-)の「貸方」を右に記載していきます。現金というのは「会社の資産」になります。

この仕訳帳のイメージは資本金200万円を口座に入れているので、「資本金がマイナス、現金がプラス」という意味になります。

※資本金が100万円になったのではないの?と疑問に思う方がいるかもしれませんが、そうではありません。

仕訳はお金の流れを明記するものです。どちらがマイナスになり、どちらがプラスになるかで借方、貸方が決まります。

こちらを踏まえたうえで、創業費と開業費の仕訳を作っていきましょう。

「創業費」の仕訳の書き方

借方   貸方  
創業費 1,000,000 現金 1,000,000

「開業費」の仕訳の書き方

借方   貸方  
開業費 1,000,000 現金 1,000,000

先ほど説明した「プラスとマイナスのイメージ」を当てはめてみましょう。

創業費・開業費という袋に100万円が入ってきて、現金という袋から100万円がでています。

創業費・開業費にお金を使っているので、この2つはプラスになります。逆にそのお金の出金先は現金なので、現金がマイナスになります。

立替費用を精算する際の仕訳の書き方

会社を設立するときは会社のお金というものは存在しません。そのため個人のお金から出費をして、後々に立替費用として会社から清算を行います。

例えば登記費用やそのた創業費として50万円かかった場合、以下の仕訳になります。まずは立替費用の記載です。

借方   貸方  
創業費 500,000 現金 500,000

立て替えていた50万円がプラスになり、現金がマイナスになります。

会社設立費用を償却する仕訳の書き方

先ほど説明した繰延資産の創業費・開業費を償却してみましょう。例えば、創業費・開業費がそれぞれ50万円ずつかかった場合に、まず1年目で半額ずつ償却した場合の仕訳がこちらになります。

借方   貸方  
創業費償却 250,000 創業費 250,000
開業費償却 250,000 開業費 250,000

償却する場合の勘定科目は「創業費償却」・「開業費償却」と記載します。こちらは「繰延資産償却」と記載することもあります。

こちらも見方は先ほど説明したプラスとマイナスのイメージで問題ありません。

50万円のうち、プラスになったのは「償却側」、マイナスになったのは「創業費・開業費側」です。

まとめ

今回は会社設立にかかる創業費や開業費の会計処理の方法を詳しく解説しました。

初めて見る場合は仕訳の仕組みが分かりづらいかもしれませんが、理解すると、とても簡単です。

勘定科目にお金が入ってきたら「借方」お金が出て行ったら「貸方」
これだけ覚えておくとイメージがしやすいので、ぜひ実際に仕訳を行ってみましょう。