会社設立を考えているけれど、設立の際に税理士に頼った方がいいのかどうかで迷っている人は多いのではないでしょうか。
税理士に依頼するとしても、税理士はどんな役割を果たしてくれるのか、必ず税理士に頼む必要があるのかなど疑問点はいくつも出てくるかと思います。
ここでは会社設立の際に税理士に頼ることで生まれる7つのメリットについてご紹介します。
メリットを理解することで税理士の役割を知ることができ、不安なく税理士に依頼できるようになります。会社設立の際に頼りにできますので、設立を考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
依頼タイミングで変わる税理士に頼るメリット
税理士は必要なタイミングによって依頼すべきか変わります。
会社を設立しようと考えても、そこから税理士に依頼することに結びつく人はあまりいないかもしれません。
税理士と聞くと会社の会計処理のサポートや節税へのアドバイス、確定申告のサポートなどを思い浮かべる方も多いかと思います。
しかし、税理士は会社設立時から様々なサポートを行ってくれます。会社設立手続きの代行や節税対策のアドバイス、資金繰りの相談など頼りにできる点はいくつもあります。
会社設立のための知識がない方に有益な情報をいくつも与えてくれるので、税に関する情報や会計処理能力を持っていない方は税理士にお任せすることもおすすめです。
税理士に依頼するタイミングは事業主によって異なりますが、タイミングによって得られるメリットも変わります。まずは設立「時」に依頼することで3つのメリットが得られますので、それぞれを紹介しましょう。
会社設立の手続きを代行してくれる
設立のためにまず何をすべきなのかがわからないと悩む方も多くいます。会社設立時に税理士に依頼することで、会社設立手続きのサポートをしてもらうことができます。
税理士に依頼しておくことで設立のために何をすべきかを教えてくれてアドバイスもしてもらえるので設立をスムーズに進めることができるます。
税理士事務所のホームページなどを見ると「会社設立手続きの代行」という言葉を見かけることがあります。
正しくは税理士が会社設立手続きの代行を行うのではなく、税理士事務所と提携している司法書士が手続き代行を行います。
会社設立のための登記手続きは司法書士の独占業務となっているため、税理士は登記手続きの代行が行えません。
しかし税理士が手続きをしてくれないからといって不安になる必要はありません。提携している司法書士がきちんと代行して手続きを行ってくれるため、設立準備は問題なく進みます。
顧問契約前提なら0円で対応してくれる
顧問契約を前提とした依頼であれば、手続き代行サービスを0円で行ってくれる税理士事務所も多くなっています。
顧問契約とは税に関する専門的な知識を持つ税理士に顧問料を支払うことで、会社経営のための知識をもらうことです。
顧問料は法人であれば月35,000円~、個人事業主であれば15,000~35,000円が相場となっています。企業に顧問契約をしてもらえば税理士事務所は毎月35,000円の利益を得ることができます。
手続き代行を0円にしても、顧問契約が前提であればその後は安定した収益が得られるため、代行サービス無料のサービスを行っています。
顧問契約を前提に依頼するのであれば設立から長くお世話になる税理士なので慎重に選びましょう。
第三者からの評価を参考にするだけでなく、実際に会ってみて自身との相性や対応の良さ、自身の会社のために仕事を進めてくれるかなどを判断してみてください。
顧問契約の必要性を感じない場合は代行費用を支払って、手続きのみをサポートしてもらうこともおすすめです。その場合は顧問契約を前提としない手続き代行を行っている事務所を選びましょう。
税務上有利になる方法を教えてくれる
税理士は税のエキスパートであるため、税務上有利になるアドバイスをくれます。
例えば決算月についてです。日本の多くの会社は決算月を3月としていることが多いですが、決算月はその会社によって自由に決めることが可能となっています。
そのため周りの会社が3月だからといって、自身の会社まで3月にする必要はありません。
決算月の決め方には色々な方法がありますが、消費税の免除期間を考慮することもおすすめです。資本金が1,000万円以下の会社は、設立後の最初の2年度は消費税が免除されます。
4月に設立し、3月を決算月とした場合は設立年の翌年3月まで消費税が免除されるためお得です。
仮に7月を決算月としてしまうと4~7月の3ヶ月と翌年度7月までの1年で1年3ヶ月しか免除を受けられません。
設立した月と決算月を離すことで長く免除されるため、いつ設立するかによって決算月を決めても良いでしょう。
設立時に税理士に依頼しておくことでこういったお得なアドバイスももらえますので、会社にとって大きなメリットとなります。
創業時の融資や資金繰りのアドバイスをしてくれる
会社を設立するときにはお金が必要になります。
資本金を多く用意していたり、出資を受けていたりすれば特に困ることはないと思いますが、1から始める会社に出資してくれる人はあまりいませんので、設立時の資金繰りに悩んで準備が進まないケースもあります。
税理士は創業時の融資についてのアドバイスをくれます。どこで融資を受けられるか、融資を受けるためにはどうすればいいかなどを教えてくれるため、創業時の融資について悩むこともありません。
また資金繰りについてもきちんとアドバイスをくれるので、融資を受けた後、どういった風にお金を使えばいいか迷わずに済みます。
融資を受けた後、どういった返済計画を立てればいいかも相談にのってくれます。資金に関する様々なことを税理士に頼ることができるでしょう。
会社設立後に依頼するメリットは4つ
税理士の力がもっとも発揮されるのが会社設立後のサポートです。会社の設立後は様々な税務処理に追われるため、税理士はとても力強い存在です。
難しい決算申告を引き受けてくれる
会社設立後は会社の日々の取引や生まれた利益などをまとめて申告しなければなりません。
決算申告は書類を作ることが難しく、提出する書類数も多いため自身で申告を行うことは難しいです。
そんな時に役立ってくれるのが税理士です。決算申告は税理士に依頼することで代行してもらえるため、依頼しておけば難しい申告を自身で行う手間が省けます。
申告に必要な情報などは税理士に正確に伝える必要がありますが、何を伝えればいいかなどは税理士が指示してくれます。
決算申告は税理士に依頼せずに自身で対応することも可能です。しかし決算申告は確定申告とは異なり、とても複雑になっています。
初めての決算申告となると漏れが出る恐れもありますので、専門家である税理士に依頼しておいた方が安心です。
節税対策を教えてくれる
会社設立後は徐々に売り上げを伸ばしていくことになるかと思います。利益が上がるのは喜ばしいことですが、利益が増えるたびに納めなければならない税金額も増えていきます。
この時に節税対策を知っていれば納めるべき税金額を減らすことができるため、節税対策のアドバイスをくれる税理士に依頼しておくことがおすすめです。
節税を行う方法はたくさんあるのですが、税に対する知識がなければその方法を実践しようもありません。
所得税や消費税は確定申告書に「特例を受けたい」という旨を記載しておくことで優遇を受けられますが、事前に知っておかなければ記載せずに提出してしまいます。
申告前に税理士に依頼しておけばそういった情報も教えてもらえます。最新の節税対策についてもアドバイスをもらえるので、納める税金額を節約できるという大きなメリットもあります。
税務調査時にサポートしてくれる
税理士に依頼しておけば、突然の税務調査時にサポートしてもらえます。
税務調査とは税務署が行う税務申告の確認調査です。その会社がきちんと税金を納めているかどうかを確認するもので、毎年法人企業に調査が入っています。
すべての会社に調査がくるわけではありませんが、いつ来るかわからないため、常日頃から正しく申告をしておかなければなりません。
税務調査には任意調査と強制調査があり、脱税などの疑いがなければ任意調査となります。
強制調査の場合は突然来るため準備のしようもありませんが、任意調査の場合は事前に連絡があるため税務調査日前に準備をしておくことが可能です。
しかし、準備といってもどんな調査をされるのかがわかっていなければ何もできないできません。
税理士がいれば何を準備しておくべきか、自身の会社に問題はないのかといった不安も解消します。また税務署への対応もサポートしてもらえるため困ることもないでしょう。
業績や財政状況を正確に把握できる
会社設立後は自身の会社がどれくらいの利益を儲けているのかなどを把握しておくことも大切です。
しかし日々の売り上げをきちんと帳簿に記入しておいても、パッと見ただけでは会社の業績を把握することは難しいです。
業績を把握できないと今後税金はどれくらい支払わなければならないのか、本当に黒字なのかもわかりづらくなります。
経営の意思決定には資金がどれくらいあるかを知っておく必要もあるため、財政状況をきちんと理解しておかなければなりません。
税理士がいれば会社の利益や財政状況を把握できるため、健全な経営が行えます。税金の支払い額の予測もしてもらえるので、支払い時に困ることもないでしょう。
会社設立時に税理士に依頼する際の注意点
税理士は難しい試験を通ってきた専門家ですが、性格やサポート内容などは事務所によって大きく変わります。
顧問契約が本当に必要か見極める
会社設立時に顧問契約前提で税理士に依頼することで、設立の代行費用を0円で行ってもらえます。
ただし、顧問契約を結ぶとなると今後は月額で顧問料を支払うことになるため、安易に顧問契約を結ぶことはおすすめできません。
自身の会社にとって顧問契約はメリットが大きいのかを確認しておく必要があります。
法人であれば顧問契約を結ぶことでのメリットは大きいといえます。設立時には設立代行の手続きをしてもらえ、設立後には決算申告の代行や節税対策のアドバイスを受けられます。
個人事業の場合は売上額がどれくらいかによって税理士への依頼が必要か、そうでないかが分かれます。
売上額が少なければ申告も自身で行えますし、事業主に財政状況の把握や節税対策と言った知識があれば必ずしも税理士に依頼する必要はありません。
売り上げが1000万円以上ある場合は個人事業から法人に切り替えるタイミングといわれており、この時に税理士に依頼することがおすすめです。
事業規模が大きくなると申告は難しくなり、これまでより収支状況の把握に手間がかかるようになります。税理士がいれば難しい作業を一括してお任せできるため、事業主に大きな負担がかかることもありません。
税理士への顧問料は「平均月額35,000円~」となっています。事業規模が大きく税理士に依頼することでのメリットを大きく受けられるのであれば顧問契約がおすすめです。
事業規模がそれほど大きくなく、自身で申告や節税対策ができるなら顧問契約は必要ないでしょう。
税理士に部分的に業務を代行してもらうことも可能なので、部分的なサポートを受けたい場合は顧問契約ではなく、必要な業務のみを依頼することがおすすめです。
税理士を探す3つの方法
特に長い付き合いになるのであれば、妥協せずに探すべきですが、自分に合った税理士を見つけるのはなかなか難しいです。税理士を探す方法は3つあります。
知人からの紹介
知人に税理士に依頼している人がいれば、その人に紹介してもらうという方法があります。
知人が依頼しているのであれば税理士がどんな人なのか、依頼したことをきちんと遂行してくれるかなど税理士に関することを詳しく聞けるでしょう。
自身で一から探すことに比べれば手間が少ないですし、知人の紹介なので安心感があるというメリットもあります。
ただし税理士との相性が合わなくても紹介してもらった手前簡単に切り替えることができないというデメリットもあります。
また紹介ということで安易に依頼してしまうと、後々後悔することになるかもしれません。
税理士にも得手不得手の分野がありますので、知人がフォローしてもらっている部分は得意でも自身がフォローしてもらいたい分野は不得意ということもあります。
不得意分野でも業務を遂行してくれますが、得意分野の税理士に比べると進行が遅い可能性もあります。
また業務に漏れが出る可能性もあるため、事前にフォローしてもらいたい分野について話しておくと良いでしょう。
ネットで調べる
インターネットを利用して地元の税理士やオフィスに近い税理士事務所を探すという方法もあります。スマホかパソコンがあればすぐに閲覧できるため、手間がかからないというメリットがあります。
実際に税理士に依頼している人の口コミも確認できますので、第三者からの評価を事前に把握できるでしょう。誰かから紹介してもらうわけではないので気兼ねなく依頼できることもメリットのひとつです。
インターネットからは税理士に関する様々な情報を取得できます。
ホームページに行けば税理士のアピールポイントや顧問料について知ることも可能ですが、すべての情報が正確かどうかは実際に会ってみないとわかりません。
またどれだけ良い評価が多くても、自身と相性が抜群かどうかも話してみなければわからないため、ネット上から知ることができるすべての情報を鵜呑みにできないというデメリットがあります。
ビジネスマッチングサービスを使う
税理士紹介会社などのビジネスマッチングサービスを活用する方法もあります。
マッチングサービスは税理士を探すときに自分が求めるニーズや条件を入力しますので、条件に合う税理士を無料で探せます。
また税理士を探してくれるのはその道のプロなので、客観的な視点から事業主にぴったりの人材を探し出してくれるでしょう。
顧問料などの料金交渉もマッチングサービスが行ってくれるため、税理士探しから依頼まで一貫してお任せできるというメリットがあります。
ビジネスマッチングサービスはインターネットで検索するとわかるように、複数のものがあります。どこを利用するかによって紹介してもらえる税理士が変わりますので、利用するサービスを慎重に選ぶことがおすすめです。
面談をせずにすぐに依頼してしまうと契約後に後悔するかもしれませんので、紹介をしてもらったらまずは面談をしてもらいましょう。
まとめ
会社を設立するのであれば設立時から税理士に依頼することがおすすめです。
設立時からお願いすることで設立手続きの代行や節税対策のアドバイス、資金繰りについての相談が可能となります。
税の専門家なので会社資金について相談に乗ってもらうことができます。
ただし事業規模の大きさ、または個人事業か法人かによって顧問契約を結ぶべきか否かが異なります。
顧問契約を結ばずに部分的に税理士に依頼することも可能なので、自身の会社に合った方法で税理士に相談しましょう。
現在会社設立のために動いている方は、ここでご紹介した税理士の選び方を参考に税理士を探してみてください。