作成日:2020.12.22  /  最終更新日:2020.12.28

【起業家必見】法務局で行う会社設立の流れを徹底解説

「法務局」と聞いて、どのような機関か説明できる人もなかなかいないのではないでしょうか。司法書士などの専門家はほぼ毎日行くことになりますが、一般の人はそうではありません。

身内で相続があったときに、不動産があれば、お世話になる人もいるかと思いますが、それでも司法書士に依頼をすれば、法務局に出向くことはありません。

しかし、会社を設立した後は特に法務局にお世話になることが多々あるため、自分で設立手続きを行う場合に法務局でどのようなことをするのか詳しく解説します。

法務局とは

法務局は法務省管轄の機関で主に人々の権利や法益を守る手続きを行います。主な業務は以下の通りです。

不動産登記

土地や建物などの不動産がどのようなものなのか(所在や面積、種類など)、そして誰が所有者なのかを他社にわかるようにするために記録(登記)します。

登記することによって、自分の不動産を他人に対して所有権を主張することができます。

また、記録されたものを登記簿と呼びますが、だれでも取得できるため、権利の安全性を確認することができます。

家の購入や、マンションを借りるときに不動産業者が見せてくれるのが「登記簿謄本」です。ローンなどの抵当権が入っていないか確認をしています。

商業登記

株式会社であれ、持分会社であれ、「会社」を作るには必ず商業登記を行わなくてはなりません。

会社の設立登記が完了すると、会社登記簿謄本及び、法人の印鑑証明書が作成され、金融機関などの他社が情報を見ることができ、みなさんの会社が信用するにあたいするか確認します。

成年後見人制度

自己判断ができなくなった人は親族や専門家が代わりに契約を交わします。その制度を成年後見制度といいます。

後見人の選任は家庭裁判所が行いますが、選任後の後見人が記載された登記事項証明書は法務局で発行されます。

会社設立の際に法務局でやるべき手続きは2つ

会社を作るときに法務局で行うことは2つあります。どちらも会社を設立するうえで欠かせない手続きとなります。

設立登記の申請

会社の設立には必ず登記申請が必要です。専門家に依頼をすると、最短で1~2日で申請し、審査期間である7~10日を含めて2週間以内に会社を作ることができます。

会社の設立登記には約8種類の書類が必要で、株式会社の場合は会社のルールブックである「定款」を事前に公証役場にて認証が必要になります。

専門家に頼まず1人で行うのであれば、法務局の相談コーナーを予約して相談しましょう。

事前予約が必要ですが、法務局の職員が自ら設立に関する皆さんの必要書類ややるべき手続きを説明してくれます。

もちろん法務局のホームページにも必要書類は載っているため、わざわざ出向く必要はありませんが、万が一間違えた書類をそろえて会社の実印を押しなおしたり、書類を作り直したりするのは手間がかかります。

さらに、定款認証というのは一度認証をしてしまうと、定款に書かれた日付を訂正することができません。

定款の日付というのは、登記書類の1つである「払い込みがあったことを証する書面」に影響し、日付がずれると再度定款認証を行わなくてならない可能性が出てきます。

定款認証は1回で約52,000円なので、無駄な出費になってしまいます。そのため、1人で登記申請を考えているのであれば、必ず法務局の相談に行きましょう。

会社実印の登録

設立登記を申請する際には原則、申請書類と一緒に「印鑑届出書」と「印鑑カード交付申請書」を提出します。

印鑑届出書には代表取締役の実印と印鑑証明書が必要となり、事前に作成した会社実印の登録を行います。

この登録を行わないと、会社名義で取引が行えないことがあるため、必ず行いましょう。

会社を設立したいと考えている人の中には、税務上の関係などで会社実印を作る暇がなく、今すぐに申請したいということがあります。

そんな時には裏技として、個人の実印などを会社実印として登録するという方法があります。

実は会社の実印は会社名が入っていなくてはならないという規定はなく、法律上はどの印鑑でも構いません。

社実印なのに「田中太郎」と書かれた判子でも審査は通ります。

そのため、会社の実印を作る暇がない切羽詰まった状況の時は個人の実印で登録を行い、登記の完了後に正式な会社の実印の登録(改印届)を行います。

会社設立後に法務局でやるべき手続きは2つ

会社登記後は様々な取引を行うために必要な書類などを取得するために訪れることになります。

法務局が開いている時間は「平日の午前8時30分~午後5時15分」です。

会社員や平日仕事をしている人はなかなか時間をとることが難しいため、急ぎであれば代理人にお願いしましょう。

印鑑カードの取得

登記申請の送り方にもよりますが、完了書類を法務局の窓口にした場合は返却書類とともに「印鑑カード」をもらいます。

印鑑カードは会社の印鑑証明書を取得するためのとても重要なカードで、大切に保管してください。なくした場合にはすぐに再発行の手続きを行いましょう。

なお、申請を郵送で行い、返信用封筒をつければ、印鑑証明書などの原本還付できる書類とともに自宅に印鑑カードが返送されます。

会社の印鑑カードは個人の実印の印鑑カードを同じく、だれかの手にわたってしまうと、会社の財産を奪われてしまう可能性があるため、なくさないようにしましょう。

各証明書の交付

会社に関する証明書は主に「登記事項証明書」と「印鑑証明書」です。それぞれの使い道は以下の通りです。

  • 賃貸オフィスの契約
  • 社会保険手続き
  • 銀行の法人口座開設
  • 銀行融資
  • 確定申告
  • 登記事項変更
  • 賃貸オフィスの契約
  • 不動産取引

このように登記事項証明書や印鑑証明書は様々な場面で使うことがあるため、法務局での取得の方法はぜひ覚えてください。

各証明書の取得方法

法務局は出張所を含めて、全国にありますが、最新の登記事項証明書と印鑑証明書であればどこの法務局でも取得することができます。

印鑑証明書は必ず印鑑カードを持っていくことと、代表取締役の生年月日を控えておきましょう。

請求方法は窓口で請求する方法とオンラインで請求する方法があります。それぞれ取得できる証明書は変わりませんが、手数料が変わります。

手数料 窓口 オンライン(窓口受取) オンライン(送付)
登記事項証明書 600円 500円 480円
印鑑証明書 450円 410円 390円

オンライン請求する場合のほうが、手数料は若干安くなりますが、手続きが少し煩雑になります。

オンライン請求を行うにはまず、「登記・供託オンライン申請システム」にてWeb申請またはインストールを行う必要があります。

Web申請はブラウザ上で申請できるため、比較的手軽ですが、印鑑証明書はソフトをインストールする必要があります。

これらを踏まえると、頻繁に登記事項証明書などを取得する予定がないのであれば、法務局に出向いて窓口請求するほうがおすすめです。

窓口で請求する場合は、「申請書」を記入する場合と「発行請求機」による申請があり、発行請求機で申請するほうがはるかに早く取得することができます。

やり方がわからない場合は職員の方が丁寧に教えてくれますので、安心です。

まとめ

会社の設立登記手続きや相続手続きは自分で行うことが可能ですが、多くの人は専門家に依頼をします。

そのため、自ら法務局に出向いて何か手続きを行うといったことがなく、「法務局」の仕組みがよくわからないかと思います。

しかし、会社の登記手続きは専門家に頼んでも設立後の証明書の取得は皆さんが取得することになると思います。

今回の記事を参考にぜひ法務局に1度で向いてみてはいかがでしょうか。