作成日:2020.12.08  /  最終更新日:2020.12.11

【会社設立するなら知ろう】ホームページの費用に関する7つの事実

会社設立を行う上で、ホームページの費用・相場については、いろいろわかりにくいところが多いと思います。ホームページをただ立ち上げるだけであれば、現在は0円でも様々なサービスを利用して、作成することは可能です。

ボトムの相場で考えると、自身で作成して0円~、作成事業者に依頼して10~20万円~からが一般的なパターンですが、上限に関しては、製作会社に依頼すると、数十万・数百万というケースもあります。

現在、ホームページを中心としたWebサイト周りの事業は、以前と比べ全体的に高くなっています行うべき対策が増え(SEO・広告の出稿・記事の強化・SNS・動画など)、「ただホームページを作りました」だけでは、結果どころかアクセスにも繋がらないケースがあるからです。

そのため、ホームページ作成の「周辺」の工程が膨大になり、価格も上がっているといえます。現実問題として、「何のためにホームページを立ち上げるのか」という観点は重要です。

ホームページを立ち上げても、収益やイメージの向上など、何らかの結果に繋がらないと意味がありません。

また、自分で無料で製作したとしても、自身の貴重な時間と労力を費やしているわけですので、実質的にはタダではありません。

当記事では、目的別の費用相場などを踏まえ、なぜホームページがこれだけの費用がかかるのか等に関し、7つの観点から解説します。

【事実1】会社設立でとりあえず作るならホームページ費用は0円

先ほどまで、会社のホームページは、コストをかけた方がいい旨、自分で作ったとしても労力がかかる旨を書いたので、矛盾するように聞こえるかもしれません。

ただ、事実として「会社を設立する上で、形だけでもホームページを作成しておきたい」という意味合いであれば、自身で無料のWebサービスを使い、簡易的な会社説明のホームページを作ることで「とりあえずは」十分です。

サイトのページ数も、5ページ前後で十分です。具体的に、最低限必要なコンテンツを挙げてみましょう。

会社のホームページに必ず用意すべき5つのコンテンツ

会社向けのホームページに必要な最低限の要素5つを表にしてみましょう。

コンテンツ 内容
会社概要 社名や代表者、本社所在地、設立年月日、資本金、従業員数や主要取引先、事業内容、許認可・登録があればその旨・取引銀行などを記載
扱うサービスの内容・製品や成果物 自社が「どのようなことができるか」という内容を書いておくことは大切。また、個人向けや、法人向けでも価格が定まっている場合は価格を書いておくとベターで、取引先・購入者も安心できる。製品や成果物(例えば、ホームページやソフトウェアなぢ、無形のものも含め)に関して、過去の実績を掲載しておくと、信頼感の向上に繋がり望ましい
求人 当初は求人を行う予定がなくても、今後人が必要な時にすぐ求人を行えるように、求人ページの骨格ほどは作ってくことが望ましい
本社所在地 特に来店型のビジネスは、所在地がわかりやすいようにデザインすることが重要。Google Mapなどを埋め込む手もあるが、人によっては地図を印刷してくる人もいるので、できればきちんと地図をデザインし、車・公共交通機関でのアクセス方法がわかると望ましい
お問い合わせフォーム・電話番号・メールアドレス 顧客が問い合わせする際に、フォーム・電話番号・メールアドレスなど何らかの形でコンタクトを取れるようにする手段は必要。特に、個人向けや電話での連絡が多い業種では、電話番号を目立たせることが重要

あれこれ入れようとすると、負担が大きくなりますので、まず上記の「ホームページに求められる必要最小限の要素を満たす」ことを考えるとよいでしょう。

無料や最小限のサーバー・ドメイン代などで数百円~数千円で作成できるWeb制作ツール・サービス

無料や、基本機能を備えたサービスや、Wordpressというホームページ作成システムを利用し、サーバー・ドメイン代(多くても月数千円前後)で、0円でも見栄え良く作成したり、数千円でも、独自色を出して作成することができます。

とりあえず作成するならWixはおすすめ

無料のホームページ作成サービスは、現在相当な種類があります。メジャーなサービスをピックアップすると、Wixは無料でも基本的なホームページが作成でき、かつ使い勝手も考えられたサービスです。(無料の場合は広告が表示されます)

Wixを用いると、自動ツールや好みのテンプレートから選択し、テキストや画像、また各種機能などを、ジグソーパズルを組み合わせるかのように、ホームページを作成できます。

また、プレミアムプランも月900円~3,800円と、さほど高い金額ではありません。

WordPressは初心者から上級者まで使えるメジャーなツール

独自ドメインの取得やサーバーのレンタル(Wordpress自体がドメイン・サーバーを貸すサービスあり)など、数千円の初期費用と最低限の知識は必要になりますが、WordPressも、初心者でも使いやすく、カスタマイズ性のあるサービスです。

また、Wordpressについては、様々な解説書籍・解説サイトがあり、様々な知見が集まっているのもポイントです。

【事実2】集客のために作るならホームページ費用は数十万円台

前述の通り、無料・非常に安価で、「名刺代わりのホームページを作成することなら」可能です。問題は、あくまで集客などの観点では、安価に作成したページ単体だけでは、集客に限界があるという点です。

ターゲットになる顧客を呼び寄せ、サービスを理解してもらい、購入に至るページを作成したい場合は、ホームページに十分なコストをかけることが必要です。

お客様を呼び込むための、SEO(検索エンジン最適化)対策とは

SEO対策という言葉を聞いたことがある方はいらっしゃるかもしれません。しかし、実際にどのような対策を行うことが重要かというと、手法は様々です。

SEOでよく出てくる、ホワイトハットとブラックハットとは?

SEOの手法は、大別してホワイトハットと呼ばれる真っ当な手法と、ブラックハットという問題のある手法の2種類があります。

ホワイトハットは、良質で、外部からリンクを得られる(参考になるよ、と言ってもらえる)ようなコンテンツを作成し、徐々に検索エンジンの信頼を得ていく手法です。

ブラックハットの手法についての言及は控えますが、一言で言うと、少し詳しい人が見たら「この手法は問題があるんじゃない?」という手法です。

問題のある手法を利用すると、一時的にアクセスが伸びるケースはあったとしても、検索エンジン側が対策を行うため、すぐに人が来なくなる恐れもあります。

それどころか、検索エンジンからペナルティを受け、サイト自体が検索に表示されにくくなる可能性も存在します。そのため、正攻法と呼ばれるホワイトハットでSEO対策を行うことが重要です。

ホワイトハットSEOの具体的な内容は

例えば、検索を行う人が知りたいコンテンツを多く追加することもSEO手法の一つです。外壁塗装をこれから考えている個人のお宅であれば、

「外壁塗装に関して、値段はどれくらいかかるのだろう」、「外壁塗装をすると、どのように見た目が変わるのだろう」、「外壁塗装の良心的な業者・そうでない業者の見分け方は・・」

など、知りたいことがたくさん出てきます。

このような、訪問者の疑問に答えるコンテンツを、オリジナルで作成して、サイトに加えていくこともSEO対策ですし、受注・売上で上位に挙げるためのワードを選定することも不可欠です。

その他地道な作業、コンテンツを作成するコストなどがかかります。他にも、SEOに言及していくと相当な量になるため、あまり深掘りするのは控えますが、それだけ手間・コストのかかる作業と考える必要があります。

記事作成者が経験した実例で言うと、最初の8ヶ月間は、8ヶ月だけで7,000人近くの訪問者でした。一日数人~十数人が来るくらいです。

その中でもコンテンツを作り、350コンテンツ程度を作成し、またいくつかの記事がバズを集め、10ヶ月の訪問者数は49万人と、およそ68倍にまで大きくなりました。

分量の多いコンテンツでは、10万字を超えるものもあります、(もちろん、1,000~2,000程度の、要点を絞ったショート記事でアクセスを集めるコンテンツもあります)

コンテンツ作成など、きちんと正攻法でSEO対策をしようとすると、相当な労力か、「一ヶ月」数十万円単位と、上昇まで1年単位の時間がかかるのが、現在のSEOです。

数万円・十数万円の中途半端なコストをSEOにかけるなら、やらない方がまだよいとも言えてしまいます。

SEOで結果を出したければ、長期間、地道に、継続的に対策してもらうことと、1ヶ月数十万円をきちんと投資することが重要になります。

【事実3】ホームページを作る目的を決めないと費用がムダになる

重要なのは、ホームページを「どのような目的で、誰をターゲットに作成するか」を定めておくことです。この時点で基本的な認識の違いがあると、せっかく時間やお金をかけてホームページを作成しても、無駄になってしまいます。

例えば、高齢者、特に後期高齢者の方のように、どちらかというとパソコンやスマホと縁が遠い方がターゲットの場合、新聞やテレビ、チラシ、あるいはローカルラジオのような媒体に投資した方が役に立つケースもあります。

また、ミドル・シニア層は、何かを探すときに、ネット検索ではなく、職業別電話帳などを参照するケースも多いです。ネットを利用する層と、電話帳・チラシ・ラジオなど旧来のメディアに慣れている層がそれぞれ存在します。

特に地方になればなるほど、旧来の媒体への信頼が厚いです。ターゲットによりなじみのある媒体が異なる事を計算に入れないと、「ネットを使わない層」をごっそり取り逃がしてしまいます。

あくまでネット・ホームページ活用は販促などのツールの一つと割り切る必要があります。最初にホームページ作成ありきになってしまうと、費用はかけたが、成果に繋がらない・・・という不毛な現象が起こりかねません。

【事実4】ホームページは作ったあとにも毎月費用がかかる

ホームページは、先ほどのSEO以外でも、作成後に毎月の費用がかかります。主な費用の種類を表にしてみましょう。

ランニングコスト例 内容及び相場
ドメイン代 例えると、インターネット上に自身の土地を借りるようなもの。たとえば、https://ja.wikipedia.orgというページであれば、「wikipedia.org」までがドメイン名となる。
いわゆる無料ブログや無料サービスなどでは、「独自ドメイン」というのが作成できないケースが多い。費用は月額で100円~1,000円程度
サーバー代 サーバーは、ホームページ設置場所の使用料のような意味合い。大抵の会社は、サーバー会社から借り受ける。
値段は幅が広く、月500円~3,000円程度が、一般的なサーバーの価格帯。サーバーに関しては、費用だけでなくスピード、その他サポートなどの評判なども踏まえて考えると良い。
保守管理費 ホームページ作成会社に依頼すると、保守管理料・月額管理料の名目で、月額数千円~数万円の費用がかかる。これは、ホームページがサーバーエラーなどを起こすことなどがあるため。
例えば、Wordpressというシステムだと、大きなアップデート(メジャーアップデート)や、プラグインの更新、その他Googleサーチコンソールという管理システムからのエラー通知などが発生することがたまにある。
また、考えにくいケースだが、外部からのハッキングや、何らかの事情でのデータ破損で、保存したデータから修復する作業が発生することもある。
この際に24時間・365日対応する必要があるため、ある種の保険料と考えておいた方がよいが、同時に、「この保守管理費でどこまで対応してくれるのか」もぜひ説明を受けるとよい
更新費 ホームページは、作成後それで終わり、という訳ではない。作成後、コンテンツの追加や更新を地道にやっていくことが必要。一見軽微な更新でも、数千円~数万円かかるが、これは作業者の人件費や、更新にかかる様々な作業(事前にバックアップを取るなど)が存在するため
広告費(リスティング費用) 前述の通り、SEOという検索エンジン対策は、軌道に乗ると爆発的に伸びることがあるが、時間と地道な作業が要される。既に販売商品・サービスが決まっており、必要最低限の販売ページがあれば、「リスティング広告(検索連動型広告)」という形で検索エンジンやその他のホームページに広告を出すことができる。広告は、自社で行う場合、月額数千円程度の少額から出すこともできるし、数十万円かけることもできるが、検索ワードの選定や広告効果の分析など、こちらも月数万~数十万円をかけて、ホームページ事業者に任せた方が望ましい
その他SNS・動画マーケティングなどの費用 Twitter・Facebook・Instagram・TiktokなどのSNSや、Youtubeなどを通した動画マーケティングも、本格的にホームページを行う上では今後望まれる。ただ、自社で行う場合は、それぞれ相当な運用の手間がかかる。専門事業者にしっかりと取り組んでもらうと、それぞれ毎月数十万円~百万円単位でかかるため、必要性やターゲットを踏まえて、本当に必要な場合に、必要なものだけ取り組むことが望ましい

以上のように、ホームページをつくるといっても、「単に作成するだけなら0円」ですが、きちんと効果を出せるよう、相当な費用か自社での労力をかけることが必要になります。

そのため、ホームページにお金をかける場合はしっかりかけるという形で取り組むことが重要です。

【事実5】リース契約でホームページを作ると後々費用が高くつく

ホームページ製作で、「初期費用0円」とうたっている事業者(特に、ホームページのリース)も、少なからず見かけます。確かに、最初の製作費用は安いかもしれません。

しかし、トータルで見ると高くなることや、リース契約の場合、途中解約などができなかったり、一部の問題あるリース業者の存在があり、中小企業庁もホームページソフトなどのリース契約はしっかり考えてから! 悪質な事業者とのトラブルにならないよう注意しましょう。という記事で警告をしています。

仕組みとしては3~5年程度の期間、月数万円を支払ってホームページをリースするという形で、一見業者に依頼する費用としては安いように見えます。

しかし、

  • 事業者間の取引のため、リース契約のクーリングオフはできない
  • トータルで見ると数百万円単位の支払いになる
  • そもそも、ホームページのリース契約はできない(重機・コピー機などと違い、形のないものであるため)
  • 中途解約を行う場合、契約期間満了までと同じ程度の費用負担が発生する可能性が高い
  • ホームページの所有権はリース会社にあるため、契約を続けても自分のサイトにはならない
  • ホームページを一回作っておしまいで、後は別料金というケースも多
  • ホームページを作って3年~5年が経過すると、見た目など様々な意味で陳腐化する可能性

以上のように、トータルコストを考えると高く付き、その割には効果が期待できないことも想定できますので、リース契約は慎重に検討するべきです。

【事実6】依頼先によってホームページの制作費用は大きく変わる

依頼先により、ホームページの費用は大きく異なります。なぜ同じ「ホームページを作成する」という仕事で、料金が数万円~数百円万・一千万円単位と大きく異なるのでしょうか。

ホームページの製作費用が大きく異なる理由

ホームページの製作費用は、企業やサイトの種類、オリジナルのものを作るか、ひな形を使うかなどで相当な費用の違いがあります。また、ホームページ制作事業が行う施策でも、大きな幅があります。

概ね、価格帯が高い順に並べていきましょう。

依頼先 特徴
都内の総合制作会社 Webのディレクション(方向付け)、コンテンツ、システム制作等全般を行い、高品質なホームページが期待できる
都内の専門特化型制作会社 特定のジャンル・分野に強い事業者が多く、業種と制作会社が重なる分野があると強い。また、特定の業界(医業・士業・専門的業務など)の場合は、専門用語や言葉の言い回しなどに強い配慮が必要となるため、その分コンテンツ作成コストなどは高めになる
地方の制作会社 地方の場合、ランニングコスト自体が安価なため、比較的良心的な価格で制作をできる可能性がある。ただし、都内から依頼する場合は、コミュニケーションコストも発生するので、都市と地方、両方に拠点がある会社もおすすめ
クラウドソーシングでフリーランスを活用 制作費の面では一番安価になるが、玉石混交で、安価でも腕のいいフリーランスもいれば、値段相応のフリーランスもいることを心得る必要

このように、会社により異なる点が多々あることも踏まえておく必要があります。

【事実7】会社設立で作ったホームページの費用は全額損金可能

会社設立時に作成したホームページの費用は、「開業費」として全額損金算入できます。

国税庁に電話確認したところ、「開業時にホームページ制作に使った費用は、全額損金算入可能、その後の費用については内容・金額により広告宣伝費など、他の費目で処理するので、税理士に確認するなり、税務署の相談センターに確認してほしい」という回答でした。

そのため、会社設立時にまとまったお金がある場合で、きちんとホームページの方向性が定まっている場合は、最初からしっかりとホームページにお金をかけるというのも一つの考えといえます。

まとめ

以上の通り、ホームページの費用に関しては、外から見てみるとわかりにくい側面もあります。ですが、それぞれの項目を分解し「なぜこれだけの費用がかかるのか」を検討することが重要です。

また、ホームページの方向性も最初に検討し、「最低限のページ」か「しっかり作り込むか」の方向性を定めることも重要です。いずれにしても、どんなきれいなホームページを作っても、あるいはどんなに労力をかけてホームページを更新しても、成果に繋がらなければ意味がありません。

そのため、会社設立初期の時点から、ホームページなどネットとの関わり方を定めておくことが大切です。