作成日:2021.03.14  /  最終更新日:2021.03.05

スリランカの会社設立にかかる「手続き・注意点」を徹底解説!

スリランカ民主主義共和国は、南アジアに位置する国です。外務省の統計では、人口約2.103万人(2016年時点)に対し、在留邦人は2018年時点で804人と極めて限られた人数です。

首都は「スリジャヤワルダナプラコッテ」という印象に残る地名ですので、聞き覚えのある方もおられるかもしれません。

また、スリランカと言えば紅茶の名産地というイメージが強いですが、衣類・繊維など工業製品の輸出が77.9%、農業製品の輸出が21.7%(2018年時点)と、現在は衣類の産地として発展しています。

加えて日本とは、良好な経済・外交関係を保ち、貿易額は約1,683億円(2018年)、輸入は世界第4位,輸出は第10位と、スリランカからの輸入額は非常に大きいと言えます。輸入品は、紅茶、衣類、魚介類、宝石などが主体です。

今後もスリランカとの交易は更に盛んになっていくと思われる中で、スリランカで会社設立を行いたい場合の「費用・手続き」を解説いたします。なお、分量やわかりやすさの関係で、より具体的な手続は他の国と同様、現地事情に通じた専門家に相談・依頼することをおすすめします。

スリランカでの法人設立に関する流れ

スリランカで法人設立を行う際には、現地法人の設立・支店設立・オフショア会社の設立の3ケースに分かれます。他のアジア諸国で存在する、駐在員事務所の設立制度は存在しません。

実務的な部分では、現地法人の設立が大半を占めるため、「現地法人の設立の流れ」という点を解説します。

また、株式会社の形態として、株式公開会社(7名以上の株主が必要・会社登記局への登録が義務づけ)と、株式非公開会社(株式を一般投資家に公開せず、株主数は、従業員や会社OBを除き50までに限られる。)の2種類があります。

会社登録

スリランカの場合、会社設立に当たる手続を、「会社登録」としています。全体の流れを見てみましょう。

なお、実際の手続は、他のアジア諸国と同様、会社設立を行う専門会社(カンパニーセクレタリー)に全面的に依頼する形となります。日本の専門家を通して依頼するか、日本に窓口があるスリランカのカンパニーセクレタリー会社に依頼することになると考えた方がよいでしょう。

社名の保留申請と承認

多くのアジア諸国では、一番最初に日本でいう法務局にあたる「会社登録局」に、登録する会社の名称を決定し、会社登録局に申請手続を行うことが必要になりますが、スリランカも同様です。

まず会社名の登録を行った後、会社登録局から社名の承認を受けます。

定款案の作成と承認

社名の承認申請と並行し、定款案の作成を行う必要があります。社名の正式な承認を受けたのち、定款案を提出し、定款案についても承認を受ける手続を行います。定款に加え、会社法を遵守する宣言書(Form1)、取締役就任の同意書(Form18)、取締役、秘書役、共同秘書役へ就任した者の一覧表(Form19)への株主・役員・秘書役への署名を行い、公証人の認証を得た後の提出が必要です。

定款案やその他書類はカンパニーセクレタリーに一任するケースが大半ですが、定款に記載する業務内容に関しては、日本に比べ厳格です。専門家のアドバイスも踏まえ、注意して作成する必要があります。

定款案の承認がされると、株主や役員の氏名・職業・住所や、登録予定の会社の登録住所を提出します。この登録住所に関しても、多くのケースではカンパニーセクレタリーの提供する仮住所を利用することになるのは、他のアジア諸国と類似していると言えます。

会社登録局より会社登録証を受領

各種書類を会社登録局に提出し、問題がないと見なされれば、会社登録局より会社登録証が届きます。この時点で、会社設立に関しスリランカに届け出るプロセスは終わりますが、設立後30日以内に、会社設立を一般に告知する手続が必要です。

これもカンパニーセクレタリーを通して行いましょう。

なお、タイなどと同様、投資に対する優遇を行うBOI(Board Of Investment)法がスリランカにも存在し、投資活動として税制優遇を受けられるケースがあるほか、事業分野および出資比率に外国資本参加の制限がある業種には、BOI法第16条に基づいて、会社設立前にBOIの承認を受けなければならない業種も存在します。

自身の業種がBOI法に関連しないかは、また行う事業における投資がBOI法の恩恵を受けられるかは、カンパニーセクレタリーとの打ち合わせを通し確認することが重要です。

スリランカの最低資本金について

スリランカでの会社設立における資本金に関しては、BOI企業でない場合、明確な最低資本金の規定は表だっては存在しません。ただ、日本で1円の資本金で会社を設立しても、運営・信用が得られないのと同様、スリランカで非BOI企業の場合でも、カンパニーセクレタリーが「この業種・規模の場合は一般的には現在これぐらいです」と示す額の資本金は用意した方が良いでしょう。

一方、BOI法16条の認可を受けBOI企業になると、最低で25万ドル、日本円(1ドル=103円計算)で2,575万円の資本金が必要になります。さらに、小売営業を行う場合は、500万ドル、5億1,500万円と極めて大きな投資が必要となりますので、よほど資本力のある企業でなければ、BOI企業になることは厳しいと言えます。

他にも、BOIに対する申請手数料や年手数料も数百~数千ドル、大規模プロジェクトの場合1万ドルから2万ドル近くの年間手数料が要されますので、既に成長した企業がスリランカに進出するケースでない限りは、BOI申請は、専門家のアドバイスを踏まえ、「必要で条件を満たせるのであればやるが、無理はしない」というスタンスが良いでしょう。

また、BOI企業の場合は、BIO手続を行った後、会社登記局で会社登記を行う必要がありますので、手順に関しても、カンパニーセクレタリーの指示通りに行うことが大切です。

スリランカ内の銀行での口座開設

銀行口座の開設も、カンパニーセクレタリーに一任するケースが大半です。普通預金口座・当座預金口座を開設、また普通預金口座に各株主が資本金を振り込みます。各株主の振込が完了すると、カンパニーセクレタリーが資本金の振り込みを確認、株式保有証明書を発行してくれます。

納税者証明書取得・居住ビザの取得

資本金の振込が完了すると、税務署に対し、納税者登録を行い、納税者証明書を取得します。

日本人が居住ビザを取得する場合、納税者証明書が必須です。他にもカンパニーセクレタリーと打ち合わせを行い、必要な書類・番号を用意しておく必要があります。

会社を設立できても、居住ビザ取得ができないと、現地での営業活動が大きく制限されますので、代表者・スタッフなどでスリランカの居住ビザが必要な人がいる場合は、最初の時点でカンパニーセクレタリーに相談し、必要な資本金や居住ビザの条件なども確認しておきましょう。

まとめ

以上、スリランカでの法人設立の流れや実費・注意点を解説致しました。

会社設立にかかる費用に関しては、カンパニーセクレタリーなど事業者により異なります。税理士等専門家のネットワークを利用して、現地の専門家に相談したり、日本に事業所を持ち、スリランカで会社設立を行えるカンパニーセクレタリーに相談することが重要と言えます。

ぜひ、専門家の知見を活用しながら、スリランカでの会社設立・事業展開を進めることをお勧めします。

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