当記事では、「ドバイで会社設立を検討しているけれども、どのようなメリット・デメリットがあるか知りたい」という方向けの情報を解説します。
海外の会社設立はメリットと共に、デメリットについても理解する必要があります。法人企業の設立はコストがかかりますし、一旦設立すれば責任も伴うでしょう。
デメリットに目を向けることで、リスクを把握することができますので、より現実的なプランを立てられるのではないでしょうか。
まずはドバイの基本情報を解説した後、具体的なメリット・デメリットをお伝えしますので、ぜひ当記事の内容をおさえていただければと思います。
目次
ドバイの基本情報
ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)の首長国の1つで、国土面積は3885平方キロメートル、人口は約300万人です。
面積はさいたま県と同程度、人口は茨城県より多く、静岡県より少ないくらいです。
経済のドバイとも呼ばれ、UAEの中心地と認識されていますが、実際石油マネーのイメージをいち早く脱却した後はホテル建設を核に成長しています。
他にもドバイは世界最高・世界最大・世界初を意識していて、「50年後、100年後の将来を作ること」をヴィジョンとしてかかげています。
そのためのキャッチフレーズが「オープンマインド」で、世界中から人が集まる都市として知られていますね。
対日感情も良好で、日本のアニメやアイドル人気が高いそうです。
治安に関しても、決して悪くはありません。ドバイは生活水準が高めなので、犯罪に手を染める国民が少ないと言われていますし、夜間に外出しても大きな危険はないという情報もあります。
食習慣はインド料理が多いものの、近年は日本レストランも増えているため、日本人が食事に困ることはないでしょう。
政治的リスクも大きな問題はないようです。かつてのイラク戦争中はテロなどを警戒していましたが、現在は観光客が戻っています。
ドバイで会社設立するメリット
ドバイで会社設立するメリットに下記があります。
- 世界中へのアクセスが容易になる
- 法人税・所得税がかからない
- ダイバーシティ且つ安全
それぞれ解説します。
世界中へのアクセスが容易になる
ドバイは世界中へのアクセスが容易です。市内から15分程度のドバイ国際空港は旅客数が非常に多いことで知られています。
エミレーツ航空も運航数が多いので、アラブ湾岸諸国・南アジア・東アジア・ヨーロッパだけでなく、アフリカ圏を見据えた展開も行いやすいでしょう。
もちろん日本へのフライトも問題ありません。エミレーツ航空から毎日3便(成田・羽田・関空)が運航されています。
法人税・所得税がかからない
ドバイは法人税が存在せず、個人の所得税も課税されません。
ただし法人税の代わりにビジネスライセンスの取得・更新の費用がかかりますし、従業員で2年ごと、投資家で3年ごとにVISAの更新も必要です。
そのように費用が全くかからないわけではありませんが、税制上のメリットは大きいのではないでしょうか。
ただし海外法人にかかる税金に関しては、日本の税制と絡む部分もありますので、事前に税理士のような専門家に相談すると良いでしょう。
ダイバーシティ且つ安全
ドバイには国籍・性別・年齢など様々な人種が集まっています。
一説には200ヵ国以上からドバイに訪れているという情報もありますが、この数字は国際連盟の加盟国を上回っています。
そのような多様性(ダイバーシティ)が特徴の国家には、時に文化的な摩擦が起こることもありますが、ドバイは安全な国家として知られています。
その理由として「仕事がない人間はドバイに居続けることができない」というルールがあります。
ドバイでは失業後、すぐに次の仕事が見つからなければ、VISAの関係で出国しなければなりません。
職業が分からない人間はドバイにいることができませんし、町中に監視カメラやセキュリティが徹底されているので、安全な国家が維持されているのでしょう。
もし治安が悪ければ、現地で法人を設立しても、常に不安と背中合わせの日々を過ごすことになりかねません。ビジネスに集中できず、意識が散漫になってしまうリスクもあります。
しかしドバイは治安が良いので、安心して過ごせるのではないでしょうか。
ドバイで会社設立するデメリット
ドバイで会社設立するデメリットには下記があります。
- イスラム教の理解が必要
- 現地国籍人の雇用義務がある
イスラム教の理解が必要
ドバイで法人を設立してビジネスを行うには、イスラム教への理解が大切になります。
ドバイのようなUAE諸国の戒律は、サウジアラビアよりも比較的ゆるやかと言われますが、それでもアルコールや豚肉を禁止するハラールや、ラマダン期間の断食は多数のイスラム圏で共通しています。
ただしUAEは、「外国人ならホテルでお酒を飲める」や「女性が必ずしもアバヤ(伝統衣装)を着用しているわけではない」という特徴があるようです。
イスラム教を理解するポイントにシャリーアの存在があります。シャリーアとは教義(コーランなど)に基づく原則で、一般的にイスラム法として知られています。
- 不確定性(賭博)禁止
- 経済的権利の平等
- 利子の禁止
具体的には上記のような内容があり、次のようなビジネスへの影響が懸念されます。
- オプション契約が制限される可能性(不確定性(賭博)禁止)
- 利息の支払いの影響(利子の禁止)
- 種類株式の禁止(経済的権利平等の原則)
他にビジネスの相続上の問題が発生することもあります。シャリーアは遺言を認めていないからです。
このようなルールを知らないまま現地の会社と契約を結んでしまうと、こらちから契約を破棄できない可能性があるので注意が必要です。
対策としては信頼できる現地の弁護士を見付けて相談し、アラビア語による契約書を作成しながらビジネスを進めると良いでしょう。
現地国籍人の雇用義務がある
ドバイのようなUAEでは「エミレタイゼーション」と呼ばれる制度が存在します。
エミレタイゼーションとは、業種や規模によっては現地スタッフを雇用する必要がある、というものです。
そのためドバイで会社を設立し、従業員を雇用する場合は、状況次第で現地国籍人も雇う必要があるかもしれません。
外国人労働者と比較して、現地国籍人の人件費は3~5倍になる、という情報もあります。そのようなコスト面のデメリットを見込む必要があるかもしれません。
まとめ
当記事ではドバイで会社設立するメリット・デメリットを解説しましたがいかがでしたでしょうか。
ドバイはUAEの首長国の1つで、経済の中心地として世界から注目されている国です。多種多様な人種が集まっている都市でもありますが、「オープンマインド」の精神で拓けた国です。
具体的なメリットには、世界中のアクセスが容易・税制上の優遇・ダイバーシティかつ安全の3つがあります。
一方、デメリットにはイスラム教の理解と現地国籍人の雇用義務が挙げられます。
このようにメリットとデメリットを比較してみると、メリットの方が上回っていると感じられるのではないでしょうか。
ドバイのような海外で法人を設立するのは、日本国内で設立するよりも手間とコストがかかりますが、その分、様々なメリットも享受しやすいという魅力がありますね。