メキシコは2008年のリーマンショック時に大きな経済危機が訪れていますが、アメリカとの貿易が盛んなため、危機以降は毎年プラス成長となっています。
2015年にはGDP1兆2609億ドルとなって世界16位にランクインし、中南米の中では2位にランクインする好景気な国です。
そんな経済成長を遂げているメキシコで会社設立をしたいと思っても、設立前の手順や流れがわからない人が多いかと思います。
今回はメキシコで会社設立をする流れと必要な費用についてご紹介します。起業を考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
メキシコで設立できる2つの会社形態
メキシコで会社を設立するのであれば、会社形態を決めておかないと進出準備ができませんので、まずは設立する会社形態を理解しておきましょう。
一般的な会社形態である現地法人
現地法人は「株式会社」と「合同会社」に分けられ、株式会社が一般的な会社形態となっています。
合同会社とはアメリカのLLCをモデルにしたもので、取締役などの役員を決めなくても申請ができ、設立費用も安いのが特徴です。
またメキシコは可変資本制度が認められている国です。設立当初に作成した定款の変更必要なく資本金の増減が可能となっています。
資本金を増やすことで会社の信用を上げることができるため、メキシコで会社を設立する場合は可変資本株式会社が主流です。
本社を別の国に置いている時に選択する支店
本社は別の国にあり、メキシコに店舗を出す場合は支店を選択します。メキシコで商行為を日常的に行う場合は支店ですが、そうでない場合は駐在員事務所となります。
日常的に商行為を行っているかどうかで選ぶべき会社形態が異なりますので、業種によって選択しましょう。
メキシコでの会社設立にかかる費用について
メキシコで会社設立をする場合はどのくらいの費用が必要になるのでしょうか。ここでは設立時に必要となる費用について解説します。
なお、メキシコの通貨は「ペソ」ですが、表記は「$」です。記号はドルに見えますが、アメリカドルとは異なるため、「メキシコ$」や「M$」と表記されます。
代行業者に依頼する場合はアメリカドルで支払うことがあるため、金額の表記は「アメリカ=アメリカドル」「メキシコ=ペソ」で表記します。
商標調査
メキシコで会社を設立するのであれば事業計画書を作成します。その際に社名や商標を一緒に決めておきましょう。
商標は多くの会社が登録しているため、中には考えているものと類似した商標をすでに登録している会社があるかもしれません。
日本国内であれば自身で商標調査も可能ですが、メキシコとなると調査が難航します。どうやって調査すべきかもわからないかと思いますので、現地の専門家に依頼しましょう。
地の専門家に商標調査をしてもらう場合は465ドル(約4万8,000円)ほどかかります。商標調査をせずに商標を登録してしまうと、商標権の侵害にて訴訟を起こされる可能性もあります。
訴訟を起こされては経営どころではなくなりますので、事前調査をしてリスクを減らしましょう。
商標登録願書の作成
商標調査が済んだらその結果が事業主の元に届きます。特に問題ないようであれば商標登録願書の作成を行いましょう。願書作成についても現地のプロに任せることが可能です。
商標調査のみ依頼してしまうと、願書登録には事業主が出向かなければなりません。手間と交通費を省けるため、専門家に依頼することがおすすめです。
依頼した場合は1,400ドル(約14万円)ほどかかります。
資本金
会社設立の際に必須となるのが資本金です。メキシコでは日本同様、1ペソ(約5円)から可能となっています。
前述したようにメキシコは可変資本制度のある国です。最初は1ペソで定款を作成しておき、後に資本金を増やすこともできます。
本金の額は会社の信用度に関わるため、あらかじめできるだけ用意しておくことがおすすめですが、用意できないのであればメキシコの制度を活かし、後に増額しましょう。
メキシコでの会社設立までの流れ
メキシコで会社を立ち上げる前に、設立までの流れを押さえておきましょう。
流れを理解しておけばスムーズに手続きが進みますので、設立時期を遅らせることもありません。ここでは設立までの流れをご紹介します。
社名決定後、社名使用許可を得る
まずは事業計画書を作成します。事業計画書には取締役の名前やオフィスを置く住所、資本金の額、事業内容などのことを記入しておく必要があります。
その際に会社名もこの時に決定しておきましょう。社名は1つではなく、3つの候補を用意する必要があり、それぞれに優先順位を付けます。
万が一3つすべてが承認されなかった場合はまた新たに3つの候補を考える必要があります。
委任状を作成する
メキシコに限らず、国外での会社設立は思うように進まないことがほとんどです。
日本と異なる手続きの流れというのもありますが、言語が違うため円滑なコミュニケーションを取りづらいからという理由もあります。
メキシコでの会社設立手続きを現地のプロに任せるのであれば委任状を作成します。スムーズに進めるためには現地の言語に長けている専門家に依頼しましょう。
定款の作成
まずは会社の定款の作成をします。定款には会社の様々な情報が記載されますが、必ず決めておかなければならない項目とそうでない項目があります。
必ず決めておかなければならないのが以下の項目です。
- 事業目的
- 会社名
- 会社の本社所在地
- 資本金
- 立ち上げを決めた人の名前と住所
これらの項目は必ず決めておかなければなりません。必ずしも決めておく必要がないのは以下の項目です。
- 株式の譲渡制限
- 株券の発行
- 取締役の任期
初めて会社を作るのであれば、定款の作成はなかなか難しいです。
定款のテンプレートは法務省のホームページからダウンロードすることが可能です。それを使って自身で作成しても構いません。
テンプレートを使っても作成できないという方は作成代行サービスに依頼することもおすすめですが、その場合も必ず決めておかなければならない項目は事前に決めておきましょう。
公証役場にて会社設立契約を締結する
設立のための書類を準備できたら公証役場に向かい、公証人に提出します。
公証人は会社の合法性や書類内容を審査したうえで会社設立公正証書を作成します。それに事業主と公証人が署名することで会社設立契約の締結となります。
締結が実行されると会社設立の完了です。
納税登録手続きと商業登記を行う
会社設立後は利益が出るかと思いますので、それに応じた納税の義務が発生します。そのため納税登録手続きを忘れずに行いましょう。
この手続きを行っておかないと銀行口座の開設ができません。メキシコで事業をするのであれば現地の銀行口座が必要となるため、口座開設前にこちらの手続きを済ませておきましょう。
会社設立公正証書を作成し署名すれば事実上会社は成立しますが、それだけでは会社が行っている事業内容が不透明なままです。
商業登記を行うことで他の会社に自社の会社情報を公開できるため、会社としての信用を得ることができます。取引を円滑に行うためにも商業登記は必ず行っておきましょう。
まとめ
メキシコでの会社設立は他の国同様、様々な手続きを行う必要があります。
現地での続きが必須となるため、現地に行くことが難しければメキシコの弁護士などに設立を代行してもらうことがおすすめです。
代行してもらえばスムーズに会社設立が進むため、早めに会社を立ち上げたい方にとってもメリットがあります。
メキシコは可変資本制度を採用している国です。この制度を活かして資本金の増減を行い、会社の信用を上げてビジネスを大きくしていきましょう。