カンボジアはサービス業が盛んな国です。
2004~2007年までの間に経済成長率10%を達成しているため好景気となっていましたが、リーマンショックにより成長率が0%台にまで落ち込みました。
しかし翌年には6%に回復し、その後も順調に成長率を上げているので景気は安定しているといえます。
今後も安定した景気が見込める親日国で会社設立をしたいけれど、何から始めればいいかがわからないかと思います。
ここでカンボジアでの起業手順や費用、メリットについてご紹介しますので、カンボジアでのビジネスを検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
カンボジアでおすすめの会社形態は私的有限会社
カンボジアでは外資100%で会社を設立することができ、日本人がカンボジアで会社を設立することができる現地法人は「私的有限会社」と「公開有限会社」の2つです。
どちらも「有限会社」が含まれていますが、これは出資の範囲内での責任しか負わないという意味で、例えば万が一会社がつぶれてしまっても、出資した株主の個人の財産には影響はありません。
2つのうち日本人が設立するのに向いているのは株を公開しない「私的有限会社」です。株を公開しないため、第三者に参入される心配もなく、1人でも会社を作ることが可能です。
カンボジアでの会社設立までの流れ
まずカンボジアでは会社設立手続きは2016年1月4日よりすべてカンボジア商業省のホームページでオンラインで申請するようになりました。設立が完了するまでおおよそ2週間~1か月かかります。
オンラインシステムの登録
会社を作る前提として、商業省のホームページからユーザー登録を行う必要があります。必要事項は以下の通りです。
- ユーザー名
- パスワード
- 個人情報全般
- 連絡先
複数の社名候補を考えておく
会社設立の手続きを始める前に、事前に希望する社名がすでに存在しないか確認を行い、予約する必要があります。
会社名は「クメール語」及び「英語」を記入し、確認を行います。調査後に社名の申請が通るかどうかの通達が来ますので、商号の確定後は3か月間会社名を保持することができます。
登記に必要な書類を準備する
社名の申請が完了したら、法人登記のための書類を準備しましょう。登記に必要な書類は以下の通りです。
- 定款(3通)※
- 賃貸借契約書、郵便書類等の住所確認書類
- 商事、民事または刑事事件において罰則が科されたことのないことに関する取締役の宣誓
- 設立申請書
- 株主や取締役のパスポート・証明写真・商用ビザのコピー
- カンボジア公認銀行発行の証明書※
※定款は申請時に1通、残りの2通およびカンボジア銀行の証明書を商業登記証明書が発行された日から30日以内に商業省に提出しなければなりません。
定款はクメール語で作成する必要があり、フォーマットに従って作成しますが、申請が通らないとまた作り直しとなってしまうため、現地の設立代行に依頼することがおすすめです。
設立申請書は商業省からダウンロードできます。残高証明書はカンボジア公認銀行から発行してもらったものを申請しましょう。
カンボジア公認銀行から発行される残高証明書の取得する
書類準備にて残高証明書を用意しなければなりませんが、準備の前に口座を用意しておかなければなりません。
法人用の借り口座を開設しても良いですし、取締役の個人口座を開設しても構いません。口座を開設したら資本金を送金し、その後残高証明書を銀行から発行してもらいます。
書類提出と会社設立申請を行う
書類が準備できたら商業省商業登記事務所にオンラインで提出します。この時に申請手数料の支払いを求められます。
なお、自分でオンライン申請ができない場合は直接商業省で出向いで、係の人に代わりにオンライン申請を行ってもらうことができます。
会社設立証明書の発行
申請が完了したら商業省商業登記事務所から会社設立証明書が発行されます。このほかに認可レターや会社定款、社印も発行されるのでそれぞれを確認しておきましょう。
発行された書類に不備があるケースもあるため、発行されたものはきちんと確認することが大切です。もし不備があった場合は発行元に確認しましょう。
不備がよくわからない場合は現地の代行業者に任せることもおすすめです。不備を確認したうえで手続きを進めてくれるので、スムーズに設立ができます。
カンボジアでの会社設立時に必要な費用
会社設立時には必要な費用がありますので、ここでご紹介します。カンボジアではカンボジア通貨「リエル」と「アメリカドル」の2つが流通しており、どちらでも支払いが可能です。
資本金
資本金は会社設立後に銀行口座へ入金すれば問題ありませんが、最低資本金および最低株式発行(1,000株)が決められており、400万リエル(約10万円)です。
商号予約費用
商号予約とは、会社で使用する商号の予約を行っておくことです。商号予約費用として6.25ドル(約645円)が必要となります。
あらかじめ商号を決めておいても、登録時にすでに商号が登録されていると別の称号を決めなければなりません。
予約しておけば他社が同じ商号を登録しようとすることを防げますので、決めておいた商号の登録が可能です。
商業登録費用
会社を設立するために必要な商業登録費用はオンラインで申請する際に支払います。商業登録費用はとして252.5ドル(約2万6,000円)が必要となります。
税務登録費用
税務登録とは納税者登録のことです。税務登録費用として100ドル(約1万300円)が必要となります。
ビジネスを行っていくなら売り上げにかかる税金の支払い義務が発生します。登録をしておくことで納税状況がすぐにわかりますし、所得なども把握することが可能です。
カンボジアだけでなく、どこの国でもビジネスを行うのであればこの税務者登録が必須となりますので、必ず手続きを済ませましょう。
パテント税登録費用
パテント税とは事業登録税のことです。カンボジアで事業登録をするのであればこの税金を納める必要があるため、忘れずに収めるようにしましょう。
パテント税登録費用は事業規模によって支払う金額が変わります。
小規模であれば約50ドル(約5100円)、中規模であれば約150ドル(約1万5000円)、大規模であれば約375ドル(約3万8000円)です。
登録が完了すると、パテント証明書に加えて、VAT登録証明書・税務登録IDカード・税務申告通知書が発行されます。
※VATとは付加価値税のことで、日本でいう消費税のようなものです。現地法人であれば、登録を行わなくてはなりません。
労働職業訓練省への登録
労働許可証(ワークパーミット)が取得するためには、労働職業訓練省へ開業報告をしなくてはなりません。かかる事業所開設申告にかかる費用は30ドル(約3000円)です。
(必要に応じて)ライセンス取得
カンボジアで行う事業の中にはあらかじめ監督省庁による審査が必要となります。例えば「飲食店」や「旅行代理店」などは審査によるライセンスを発行してもらわなくてはなりません。
まとめ
カンボジアは日本人に好意的な親日国であるため、日本人がビジネスを始めるには最適な環境であるといえます。
東南アジアの中でもビジネスに適した理想的な環境を整えているので、多くの日本企業が進出していくことが予想されています。
起業を考えるのであればそれに乗り遅れないよう、早めに起業準備を進めていきましょう。起業準備の手順はわかったけれど、準備する時間がないという場合は現地の代行業者に依頼しましょう。