バングラデシュは経済発展国ではありますが、勢いよく経済成長を遂げている国でもあります。
現在は工業化が遅れている低中所得国に分類されていますが、順調に成長を続けていけば2041年には先進国で構成されている高所得国に分類されるといわれています。
好調な景気が続くことが予想されるバングラデシュで会社設立を行いたいと考える方もいるかと思います。
しかし設立手順やかかる費用などがわからないかと思いますので、ここでバングラデシュでの会社設立までの流れや設立時にかかる費用について解説します。
バングラデシュで会社設立をしたいという方はぜひ参考にしてください。
目次
バングラデシュで設立できる3つの会社形態
会社設立をするのであればまずは会社形態を決定する必要があります。ここではバングラデシュで設立できる会社形態についてご紹介しましょう。
2つに分類される株式有限責任会社
株式有限責任会社とは「公開会社」と「非公開会社」に分けられる会社形態です。
公開会社は7名の株主を必要とする会社で、株式の譲渡制限がありません。
非公開会社は株式の譲渡制限がある会社で、株主は2名以上50名以下という制限もあります。
どちらも株式有限責任会社であり、この形態は株式の引受価格を限度とした責任を負わなければなりません。
責任に上限がある保証有限責任会社
保証有限責任会社は会社が定める定款に株主が負う責任の上限額を記入している会社形態です。
会社の財産を換金して株主に財産を分配することを会社の清算といいますが、この形態を選択している場合は清算時に責任を負うことになります。
ただし株主の責任は定款で定めた範囲となっていますので、定めた範囲外の責任を負うことはありません。
倒産時のリスクが高い無限責任会社
無限責任会社は株主が負う責任に際限がない会社形態です。
会社が倒産することがあれば債権者に対して責任を負う必要があります。上記で紹介した会社形態はどちらも責任上限が定められているため、上限を超えた範囲に関しては責任がありません。
この無限責任会社は責任の上限がありませんので、倒産した際は債権者に対しすべての責任を負うことになります。倒産した場合のリスクが非常に高い会社形態です。
バングラデシュでの会社設立にかかる費用
バングラデシュで会社設立をする際にはいくつかの費用が必要です。ここでは設立時にかかる5つの費用について解説しましょう。
書類登記料
書類登記料として2400タカ(約2900円)が必要です。会社設立のために用意した書類は公開されている帳簿に登録する必要があります。
会社情報を閲覧可能にすることで会社の信頼度を向上させることが可能です。信頼度を上げるために必須の費用と思っておきましょう。
基本定款の印紙代
基本定款の印紙代として1000タカ(約1200円)が必要です。定款は会社を設立する際に必ず作成しなければならないものです。
取締役の氏名や本社所在地の住所、資本金や事業内容などが記載されています。設立の際に必ず作成するものなので、印紙代も必須と思っておきましょう。
登記料
法人登記をするための費用も必要です。法人登記料は資本金によって費用が異なります。
授権資本が2万タカ未満であれば700タカ(約850円)、500万タカ以上であれば100タカ(約121円)です。500万を超える場合は10万タカ追加で100タカとなります。
資本金は事業主によって異なりますので、定めた資本金別に支払う必要のある登記料を用意しましょう。
付属定款の印紙代
付属定款の印紙代も必要です。こちらも資本金によって印紙代が異なります。
授権資本が200万タカ未満であれば3000タカ(約3600円)、6000万タカ以上であれば20000タカ(約2万4000円)がかかります。
付属定款とは基本定款に載せていない情報が記載された定款のことをいいます。
設立時のオフィサーの選出や取締役会についてなど、基本定款に記載されていないことの詳細を載せたものです。付属定款の作成は法的に義務付けられているわけではありません。
しかし会社を運営するにあたってのルールが記載されているものなので、設立時には付属定款も作成して一緒に申請しておきましょう。
バングラデシュ投資開発庁への登録手数料
駐在員事務所や支店を設立する場合はバングラデシュ投資開発庁への登録手数料も必要です。株式会社などを設立する場合はこの費用の支払いは必要はなく、申請費用は資本金によって異なります。
資本金が1憶以下であれば5000タカ(約6000円)、1億超~2憶5000万以下であれば10000タカ(約1万2000円)、2憶5000万超~5憶以下であれば25000タカ(約3万円)という風に資本金が増えると手数料も高くなります。
申請用紙はバングラデシュ投資開発庁の公式サイトからダウンロードできます。
バングラデシュでの会社設立の流れ
バングラデシュで会社設立をする際の流れについて解説します。
社名決定と商業登記所承認の取得
まずは会社名を決定しましょう。会社名は必ずしも希望が通るわけではありません。
社名によっては申請が通らない可能性もありますので、複数の候補を検討しておくことがおすすめです。複数の候補に優先順位をつけてから申請しましょう。
申請後、現地調査が行われ社名を使用しても良いかどうかの審査が行われ、審査を通過した後は商業登記所からの承認が得られます。
定款の作成
次に定款の作成を行います。定款の作成は日本で会社設立をする際にも行いますが、作成方法は国によって異なります。
バングラデシュにも会社法があり、その法律に従って定款を作成する必要がありますので、作成は非常に難しいと思っておきましょう。
自身でバングラデシュの会社法を調べてから作成することも可能ですが、スムーズに作成したい場合は現地の専門家に頼ることもおすすめです。
現地での銀行口座開設
事業で使うための銀行口座を現地銀行で開設しましょう。開設した銀行口座に資本金を送金しておけば、現地銀行の残高証明書を求められた際に発行して提出することが可能です。
海外での銀行口座開設時に注意しておきたいのが信用できる銀行を選ぶことです。
信用のない銀行に口座を開設してビジネス用に使ってしまうと、送金した資本金の持ち出しができなくなる可能性があります。
そのため、こちらも現地の専門家に意見を聞き、信用できる銀行を紹介してもらうことがおすすめです。
会社の登記申請
口座を開設したら会社の登記申請を行います。登記申請は早ければ2週間程度で済みますが、長ければ3か月ほどの期間を要することもあります。
自身で手続きを行うと1か月以上の日数を要するかもしれませんので、急いで設立したい方は設立代行にお任せしましょう。
課税識別番号と営業許可証の取得
法人登記を終えたら、バングラデシュの国税庁に会社情報を登録します。この登録時に税務番号申請も行っておきましょう。
税務番号とは納税者番号のことです。番号があれば納税状況や所得状況などがすぐにわかるため、納税者に取得するよう義務付けられています。
こちらと一緒に行っておきたいのが営業許可証の取得です。取得は早ければ2週間程度ですが、長くなると1か月以上の日数を要します。
Board of Investmentへの登録
バングラデシュで起業をする場合、外資系企業はBoard of Investmentへの登録が必須です。こちらに登録しておかなければ儲けた利益の持ち出しができません。
ローカル企業と提携をする際、登録しなくても良いと言われるケースもあります。言われた通り登録しないでおくと自国に利益を持ち帰ることができないので注意しておきましょう。
まとめ
バングラデシュは日本人でもビジネス展開をしやすい環境の国です。設立手順やどんな費用がかかるかを知っておけばよりスムーズに設立準備が進みますので、ここを参考に準備を進めていきましょう。
スムーズに設立準備ができれば起業もいち早くできるため、バングラデシュでのビジネスを始められます。滞りなく起業をしてビジネスを成功させてください。